キヤノンITソリューションズは10月6日、スウェーデン・Clavister AB社と販売代理店契約を締結し、同社のセキュリティ製品を販売すると発表した。
第一弾製品として、次世代型ファイアーウォール「Clavister E80(価格=オープンプライス、UTMライセンス1年付属版参考価格21万円、5年付属版参考価格42万円)」を11月上旬に発売する。
Clavisterは1997年に設立した企業で、2万5000社の顧客、18万5000のインストールベースを持つ。独自にOSを開発しており、フットプリントがわずか11MBと小さい。不要なプロセス処理もなく、ハードウェアリソースを効果的に使用しているとのことで、脆弱性も少なく、ネットワーク検査システムとは独立した死活監視システムにより高可用性を実現しているという。
「米国や中国のメーカーとは異なり、バックドアがなく、どこからも覗かれることはない。製品のパフォーマンスには自信があり、ファイアーウォールは60Gbpsのスループットを記録している。セキュリティとしての堅牢性についても自信がある。15年間、我々のセキュリティが破られたことは一度もない」(Clavister AB社 Jim Carlsson CEO)
キヤノンITソリューションズではこれまでにも複数社のセキュリティ製品を扱っているが、今回、新たにClavister製品をラインアップに加え、セキュリティ事業のさらなる拡大を目指す。
「セキュリティ事業を手がけ、20年近くなる。単に製品を販売するにとどまらず、自社開発製品を持つことから、海外製品は日本市場にあわせたローカライズ、国内製品は知見に基づく付加価値をつけて提供している。製品の企画、研究・開発、サポート、営業とトータルなビジネスを行うことができる体制を持っていることが当社の特徴となっている」(キヤノンITソリューションズ 執行役員 セキュリティソリューション事業部長 近藤伸也氏)
Clavisterのネットワークセキュリティについては、アプライアンス製品はキャリア向けの大規模なものから、小規模企業向けデスクトップ製品まで幅広い顧客向け製品を提供している。そのほかに仮想環境用にクラウド事業者からプライベートクラウド用途、UTMファームウェアのOEM提供を行う。
アプライアンス製品、仮想製品・OEM販売、IoTへの組み込み販売を計画している。仮想製品・OEMについては特定プラットフォームに依存せず、x86ベースのハードウェアで実行が可能。仮想化としてはVMware、KVMに対応し、最小動作環境としては記憶領域32MB、RAM128MB。IoTへの組み込みとしては、刑務所内で凶悪犯と弁護士のコミュニケーション用に使用されるビデオ会議システムへの組み込みを行った実績がある。
日本でのビジネスについても、仮想製品・OEMでは販社がオリジナルブランドで販売することも可能。キヤノンITソリューションズでは、「日本のインターネット環境にマッチする、Webコンテンツフィルター、アンチスパムエンジンなどと組み合わせて提供することも計画している。我々がハードウェアを選択し、そこにClavisterのソフトを搭載して販売することも計画している」(キヤノンITソリューションズ セキュリティソリューション事業部セキュリティソリューション営業部長・崎山秀文氏)としている。
今後、さまざま製品を販売することを計画しているが、第一弾製品としては150人以下の企業での利用を想定している次世代型ファイアーウォール「Clavister E80」を11月上旬に発売する。
搭載している機能はファイアーウォールに加えVPN、アンチウイルス、アンチスパム、Webフィルター、侵入検知防御、アプリケーション制御。OSがOSSを利用していない独自開発であることから、OSSの脆弱性の影響を受けず、ゼロデイ攻撃に強く、バッチ適用の必要がない。
ゼロスピンドル構造で、ハードウェア、ファンなどの駆動部分を保持せずにメモリ上で稼働する。ハードディスクもなく、シャットダウンプロセスも必要としない。エントリーモデルではあるが、UTMスループット300Mbps。
今後、アプライアンス製品として遠隔拠点・小規模事業所向け、工業用モジュラー型製品、企業およびデータセンター向け製品、通信キャリア向け製品の販売を計画しており、「日本での要望、キヤノンITソリューションズのノウハウを加味して、日本での製品提供を行っていきたい」(崎山氏)としている。