大日本印刷(以下、DNP)の100%子会社となるDNPデジタルコムは9月25日、岩手県立大学と共同で、BLE (Bluetooth Low Energy)ビーコンを利用し屋内位置を測定するスマートフォンアプリ組み込み用のソフトウェア開発キット(SDK : Software Development Kit)を開発し、同日より提供を開始すると発表した。
同SDKは、複数のBLEビーコンからの電波を受信後、独自アルゴリズムによってそれぞれの強度を同時に計測し、アプリを利用する生活者の現在地や進行方向を測位するもの。
同社によると、BLEビーコンを使った従来の屋内ナビゲーションアプリは、建物の構造や人の動き等で発生する電波のゆらぎにより、ビーコンの電波強度の計測が不正確となることから、位置測定の精度も低くなりがちだったが、同SDKでは、受信可能な範囲にある複数のBLEビーコンから電波をすべて受信し、電波強度の変化を正確に測定できる独自のアルゴリズムにより、吹き抜けのある空間や入り組んだ構造物の中でも高精度に現在地を判定することができる。
また、これまで必要とされていた測定用ビーコンを設置する前に行う電波状況調査の必要がなく、導入時の作業負担の軽減も見込む。同SDKは既に、駅などの公共交通施設向けナビゲーションアプリでの採用が決定。価格は、測位SDKライセンス費がiOS・Android OSともに、1つのナビゲーションアプリにつき年間50万円(税別)となる。
DNPデジタルコムは今後、公共交通施設だけでなく、大型ショッピングセンターのような複合施設など大きな空間を有する施設向けのナビゲーションアプリを対象に提供し、2016年度に年間3億円の売上を目指すほか、DNPが開発するBLEビーコンを利用したアプリに同SDKを標準実装し、さらなる普及を図っていく考えだ。