半導体市場調査会社の米IC Insightsは、9月18日(米国時間)「IC市場けん引役 - IC 需要を産み出す新規および主要な最終用途(IC Market Drivers - A Study of Emerging and Major End-Use Applications Fueling Demand for Integrated Circuits)」と題する調査報告書を発行し、その中で 「大画面スマートフォン(スマホ)の登場で、タブレットの成長が止まったため、今年のタブレット向けIC出荷額は5%減少、標準PC向けIC出荷額は3%減少する」との予測を明らかにした。
スマホの大型化によりタブレット向けICの成長が鈍化
5年前、タッチスクリーンを採用したタブレットがパソコン市場に投入され、そしてパソコン市場を侵食し始めたため、誰もがポストPC時代の幕開けを予測した。タブレットの出荷額は、2013年にノートブックPC出荷額を越えた。2016年までにはパソコン出荷総額を越えるかのような勢いがついていた。しかし、2014年にタブレットは勢いを失い、2015年前半には成長が止まってしまい、タブレットを主人公に据えたシナリオは実現不可能となった。その主な理由は、大画面スマートフォンの登場で、タブレットを代替できるようになったためである。タブレットの新しいモデルには、ユーザーがタブレットを買い替えようと思うほどの魅力的な新機能が追加されなかった影響も大きい。 このため、IC InsightsはPC市場予測を全面的に見直し、タブレットの成長を下方修正した。標準PCも従来通り成長を期待できない(図1)。
図2は、標準PC、タブレット、クラウドコンピューティング・システムの3分野に使われるIC需要に関するIC Insightsの予測を示す。PCおよびタブレット向けICは2015年に減少すると予測している。PCおよびタブレットの出荷台数自体が減少するからだ。標準PC用ICは、2014年の594億ドル(前年比5%増加)から、577億ドルへと3%減少すると予測している。タブレット向けICは2014年の174億ドル(前年比18%増加)から166億ドルへと5%減少するだろう。これに対して2015年の、インターネット・クラウド・コンピュ―ティング用ラップトップ用IC出荷額は9.31億ドルで、2014年の6.75億ドル(前年比83%増加)から38%増加するとみている。