東京都の、いわずと知れたターミナル駅・東京駅。乗り入れ路線が多く、人通りも多いJR東京駅ですが、その中で待ち合わせスポットとして親しまれてきたのが八重洲地下中央口の改札内にある「銀の鈴」です。東京駅に、なぜ「鈴」なのか?どういった経緯で作られたのか?東日本旅客鉄道広報部の方にお話を伺いました。

東京駅の待ち合わせ場所といえば「銀の鈴」ですが、なぜ「鈴」なのか知っていましたか?

――東京駅の八重洲地下中央口改札内にある「銀の鈴」ですが、どういった経緯で設置されたのでしょうか?

東京駅は、昭和39年10月に新幹線開業以来、お客さまが急増したため、「待ち合わせ場所を作っては?」という社員のアイディアから、お待ち合わせのお客さまと通常のお客さまを分けることで混雑緩和と利便性向上を図るために設置されました。神社で鈴をつけた紐をゆすってから拝むのは、神様を呼ぶためのものだそうです。古来、鈴は神様だけでなく、人を呼び注意を促す道具として使われており、待ち合わせ場所の意味合いと上記内容がマッチしていることと、東京駅の伝統にもふさわしいということで、鈴をモチーフにしたそうです。

――それで鈴なんですね! 神社の鈴は金色が多いですが、なぜ「金」ではなく「銀」なのでしょうか?

設置当時(昭和43年ころ)の駅社員の声から、渋く品のある銀色になったそうです。

――設置された当初から現在の場所だったのですか?

設置当初は地上(南乗り換え改札口前)にありましたが、平成6年の長野新幹線東京駅乗り入れ工事に伴い地下に移設され、今に至っています。

――過去には実際に鈴の音が流れていたという噂も耳にしましたが…

設置当初から昭和53年ころまでは、憩いの空間を演出するために鈴の中に設置したスピーカーから鈴の音を鳴らしていました。その後、4代目の銀の鈴から(平成19年10月設置)、銀の鈴広場に6か所設置したスピーカーから毎時00分に環境音楽を数分流して、待ち合わせに不可欠な時報機能を持たせています。

――今の"鈴"は4代目だったんですね。定期的に変えているのには理由があるのでしょうか?

定期的に変えている理由は特にございませんが、東京駅名店会さまの30周年記念事業として寄贈をいただいたり(3代目)、東京駅グランスタのオープンに合わせて、鉄道会館さまから寄贈いただく(4代目)など、東京駅にかかわる節目のタイミングで代替わりが行われています。

1代目銀の鈴

2代目銀の鈴

3代目銀の鈴

――4代目ならではのデザインのコンセプトや、こだわりのポイントなどはありますか?

4代目銀の鈴は、「出会いと旅立ち」をテーマに、日本を代表する立体作家である宮田良平さま(東京藝術大学長)にデザインを依頼し、多くのお客さまに長く愛されるデザインとしています。銀の鈴広場に設置した6か所のスピーカーから流れる環境音楽は、流れるような立体音響で快適性を向上しています。

――利用者様の反応などはいかがでしょうか?

直接お伺いすることはありませんが、親しみのあるデザインで待ち合わせスポットとして非常に親しまれております。

――ありがとうございました。

東京駅になぜ鈴が?と思っていましたが、由来を聞くと、待ち合わせ場所にはぴったりのモチーフでした。出張に旅行にと使う機会の多い駅なので、皆さんも4代目の「銀の鈴」を眺めながら待ち合わせ時間を過ごされてはいかがでしょうか。