アドビ システムズは、Adobe Creative Cloudのビデオ製品に追加された数々の新機能を発表した。これらは、オランダ・アムステルダムで9月11日~15日に開催される放送業界のプロフェッショナル向け展示会「IBC 2015」で披露されたのち、Creative Cloudを通じてユーザーへの提供が開始される。
今回発表された新機能には、UltraHD(UHD)のサポートや色彩技術の向上、タッチ操作のサポートといったアップデートが含まれるほか、マルチデバイス動画配信プラットフォーム「Adobe Primetime」の配信および収益化機能をHTML5ビデオにも拡大され、TV Everywhereの認証プロセスを簡単かつ効率化する有料テレビ会社向けのツールが新たに提供される。
「Premiere Pro CC」が4K/8Kの高精細映像編集に対応するフォーマットにネイティブ対応したほか、映像における色彩表現の強化、HDRワークフローのサポートなどを実現している。「After Effects CC」については、色彩の再現性や調整機能が強化され、カラーワークフローに対応するためにARRI RAW、Rec. 2020や新たなUltra HDおよびHDRのフォーマットへの対応が強化されたということだ。
また、「Premiere Pro CC」、「After Effects CC」、および「Character Animator」がタッチ操作に対応したほか、「Audition CC」には映像作品などの長さに合わせて音楽の長さを調整するRemix機能が搭載されたという。さらに、Creative Cloudに含まれるすべてのデスクトップ用ビデオ製品において「Creative Cloud Libraries」機能が強化され、「Adobe Stock」からの画像を含むアセットをAfter EffectsとPremiere Pro上で即座に表示可能になるという。
このほか、「Adobe Media Encoder」のパブリッシュ機能が、従来のYouTube、Vimeo、Creative Cloudに加えて新たにFacebookをサポートし、SNSでのプロモーションやキャンペーンの公開がより簡単になったということだ。
なお、IBC 2015では、来年2月に公開予定の映画「Deadpool」やアダム エプスタイン編集の映画「Staten Island Summer」、カラーグレーディング アーティストとして受賞歴を持つデイドヴァレンティックなどの事例を挙げ、Creative Cloudと「Premiere Pro CC」によるワークフローへの移行が進んでいることが紹介されるほか、マルチデバイス動画配信プラットフォームである「Primetime」の導入事例として、HBO Now、Showtime、MLB、Sony Pictures Entertainment、RTL Group、Shomi、Voo、Starz(Parsifal)の各社が提供を開始したサービスについても紹介されるということだ。
これらに関して、同社のプロフェッショナル ビデオ製品担当シニアディレクター、ビル ロバーツ氏は、「アドビはすばらしい品質の映像をより簡単に作成できるよう、ビデオと映画のワークフローを再定義しています。映像によってストーリーを語る際に色彩は不可欠な要素ですし、色を補正しない映像は意図した効果を発揮することができません。さらにUltraHDへ移行しようとしている今、映像品質の重要性はさらに高まっています。アドビはCreative Cloudを進化させ続けることによって、制作会社がテレビやスマートフォンなどのあらゆる画面に向けた魅力あるUltraHDコンテンツをより容易に作成できるよう支援しています」とコメントしている。