富士通研究所は9月10日、九州大学とともに、福岡空港の混雑緩和に向け、数理技術を用いて解決策を見つけ出す実証実験を2017年8月までの予定で実施すると発表した。
九州大学と富士通および富士通研究所は昨年の9月、九州大学のマス・フォア・インダストリ研究所内に共同研究部門(「富士通ソーシャル数理共同研究部門」)を設置し、公平で受入れやすい社会の制度や施策を実現するための数理技術に関する共同研究を開始することを発表している。
富士通ソーシャル数理共同研究部門では、人間の行動や心理を明らかにする社会科学的研究とビッグデータを活用した数理技術を融合した研究を行っている。
今回の実証実験は、富士通ソーシャル数理共同研究部門の研究者が、福岡空港ビルディングのスタッフとともに、福岡空港の国際線の出発手続きの混雑緩和に取り組む。
富士通研究所 知識情報処理研究所 穴井主管研究員は、「社会の課題の解決にICTの活用が求められており、富士通ソーシャル数理共同研究部門では、ビッグデータ技術を活用して解決しようとしている。こういった問題には、人間の心理や行動が深くかかわっており、それを分析をしないと課題を解決できない」と語った。
ただ、穴井氏によれば、数理研究に対して、現場の人難しいと感じる点や、現場とずれた研究になりがちという課題があるという。
そこで今回は、数理研究者自身がフィールド調査を行い課題抽出を行うことで、現場に即したソリューションの開発を目指す。
実証実験ではまず、福岡空港ビルディの営業、販売、保安のスタッフにインタビューし、本来あるべき望ましい姿を明らかにし、その理想を妨げるう要因は何かを探り、課題を明らかにする。
データ解析で使うデータは、空港への到着時間、利用する航空会社、座席クラス、各種手続きを行うレーンやカウンターの数、一人あたりのサービス時間などで、これらをシミュレーションし、各手続きの待ち時間やかかった時間、顧客満足度の指標を出力する。
そして、レーン数やカウント数の変更、インライン・スクリーン・システムの導入などにより、各指標がどう変化するを確認し、解決策のパターンモデルを導きだす。
両社では今後は受託手荷物検査やチェックインなどの手続きの混雑緩和や、空港内の多様な状況変化に対応可能な警備施策ついても取り組んでいくという。