NTTデータは9月8日、「マイナンバー」に関する記者セミナーを開催。マイナンバーを取り巻く現在の状況、一般企業、金融機関のマイナンバー対応の課題、NTTデータグループでのマイナンバー対応サービス紹介などを行った。
NTTデータ 企画調整室 課長 山田英二氏は、今年の1月と7月に内閣府が行ったマイナンバーに関する認知度の調査を示し、「マイナンバーでは、国民への認知度が低いという問題がある。あと1カ月で正確な情報を提供できるように政府も努力しなければならない」と10月5日の番号配布の前の7月時点でも、マイナンバーの内容まで知っている人の割合が半分以下という状況に警鐘を鳴らした。
同氏は、「企業もこの1カ月、危機感をもって取り組んでいる。ただ、今年度末までに対応が間に合うか不安だという声を聞いている。システムについては、ベンダーが対応しているので、それに乗っかればばある程度対応できるが、社内規定の対応が間に合わない」と、企業では、マイナンバーに対する社内のルール作りが追いついていない現状を説明した。
企業からのマイナンバーの問い合わせでは、安全管理措置に関して、具体的にどのような対策をするのか、自社の規定の文言を具体的にどうするのか、社員教育をどのように実施するのか、来年の1月から利用する手続きのうち、自社に関係するものは何か、といったものが多いという。
同社では安全管理措置の基準については、個人情報保護対策をベースに、マイナンバーのガイドラインを参考に、ある程度推測で決めているという。
また同氏は、10月5日の番号配布開始に向け、企業は具体的な対応策の検討に及んでいるが、セキュリティリスクの把握など全体感をもった対応までは意識が及んでいない点が問題だと指摘した。
続いて登壇したNTTデータ経営研究所 金融政策コンサルティングユニット 本部長 大野博堂氏は、金融機関における課題を説明した。
同氏がまず指摘したのが、窓口業務の混乱について。「これまでは、免許証を提示すればすべての手続きができたが、今後はマイナンバーの確認も必要になる。現場がきちんと理解していないと、何度も足を運ばせるなど、お客様に負担をしいることが増えていく」と述べた。
また、同氏は個人情報管理の難しさも指摘。上席がチェックする際も、マイナンバーに触れることがない工夫や、画面や帳票設計の際、番号が第三者に閲覧されない工夫が必要だとした。
同氏が例として挙げたのは、クレジットカード決済でのクレジット番号の秘匿例について。店舗でクレジットカードを使った際、明細には下4桁のみが表示され、残りの番号は*(アスタリスク)で表示するマスキングが行われているが、同様の仕組みがマイナンバーでも必要だとした。
そのほか、ほとんど使われて銀行口座のマイナンバー収集(顧客がちゃんと通知してくれるか)や、顧客が番号通知カードのコピーを郵便で送ってくるケースも、知らずに開封し、担当者が番号を知ってしまうことも問題だとした。
そのほか、銀行がマイナンバーの管理を外部業者に委託するケースでは、業務委託先管理法の整備が重要だとした。