東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)はこのほど、XMASS実験の最新結果を発表した。
XMASS実験は、岐阜県飛騨市の地下1000mに検出器を設置し、宇宙空間で観測されている物質の5~6倍を占めると考えられている未知の物質・ダークマターを直接探索することを目指している。
今回、XMASS実験グループは、2013年11月から2015年3月までのデータを用いて、ダークマターの候補とされる素粒子「WIMP」のうち「質量の軽い」候補の観測量の季節変動(地球の公転によって引き起こされるダークマター観測量の季節変動)と、ダークマターをWIMPなど特定の候補と絞らない場合の季節変動の両方について解析を行った。
WIMPのうち「質量の軽い」候補については、イタリアのDAMA/LIBRA実験で観測量の季節変動が示唆されていたが、今回の解析では、DAMA/LIBRAグループが提示した結果を否定する結果が得られた。また、ダークマターに特定のモデルを仮定しない探索では、有意ではないが、低エネルギーの領域に弱い季節変動のような効果がみられた。
同実験グループは今後、さらなるデータの蓄積、系統誤差の低減を行い、研究を継続していく必要があるとしている。なお、今回の研究成果は9月7日からイタリア・トリノで開催されるTAUP2015で発表された。
XMASS検出器の入った銅製容器を取り囲む水タンクの様子 (C)東京大学宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設 |