電力を大きな弾み車の回転運動として貯蔵し、必要な時に回転力を再び電力に変換する次世代フライホイール蓄電システムの実証施設が山梨県米倉山に完成した。施設の出力は300キロワット、蓄電容量は100キロワット時と、世界最大級。山梨県が運営する米倉山大規模太陽光発電所と、電力系統につないで、変動の大きい再生エネルギーの安定的利用に向けた実証試験が始まる。
このプロジェクトは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「安全・低コスト大規模蓄電システム技術開発-次世代フライホイール蓄電システムの開発-」として、鉄道総合技術研究所、クボテック(株)、古河電気工業(株)、(株)ミラプロと山梨県企業局が2012年度から進めて来た。
フライホイール蓄電システムは、フライホール(弾み車)が「より大きく」、「より重く」、「より高速で回転する」ほど、大電力を蓄えることができる。今回完成した実証施設の心臓部には、イットリウムを含む高温超電導線材を用いた高強度な高温超電導磁石が軸受けとして使われている。この超電導磁気軸受けがフライホイールを非接触で浮上させているため、重量4トン、直径2メートルという大型のフライホイールを毎分6,000回転という高速で動かしても、長期間の安定運用が可能だ。
フライホイールはFRP(炭素繊維強化プラスチック)製で、これまで直径1メートル前後が限界とされていたのを、炭素繊維の織り方を工夫することで直径2メートルの大型化に成功した。
フライホイール蓄電システムの実証施設とつながる米倉山大規模太陽光発電所は、今回の実証試験のため、東京電力とNEDOが共同で建設した「米倉山太陽光発電所」(電気出力1万キロワット)と、山梨県が建設した「米倉山実証試験用太陽光発電所」(電気出力1,002.6キロワット)から成る。日射量などで変動する太陽光発電を安定した電力にして電力系統に送る実証試験によって、再生可能エネルギーがより安定に導入されることが期待できる、とNEDOは言っている。
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