キヤノンは9月2日、肉眼では見えにくい夜間・暗所でも遠距離の被写体をカラーで鮮明に映し出し昼夜問わず防犯や自然災害の監視などで性能を発揮する、小型で高感度のネットワーク・カメラを開発中だと発表した。2016年の製品化を目指す。

開発中のネットワーク・カメラの外観

同製品は、同社が長年培ってきた光学技術を結集し、35mmフィルム換算で600mmを超える望遠端でもレンズの明るさを表すF値で2.4を達成する、多くの光を取り入れられる大口径の超望遠ズーム・レンズを搭載している。非球面レンズやUD(特殊低分散ガラス)レンズの採用などにより、大口径化に伴って増大する収差を抑制するとともに、レンズ・ユニットの小型化も実現した。

従来の夜間監視は限られた距離での赤外光の投射や「ナイトモード」による白黒撮影でのみ可能だったが、開発中の製品では大口径レンズと高感度センサーおよび高性能映像エンジンの組み合わせにより、月明かり程度の明るさに相当する0.08luxの暗い環境下でも100m先の人物の顔をカラーで認識できる。

肉眼で見た場合(右)と開発中のネットワーク・カメラで撮影した映像(左)の違いのイメージ

また、カメラの向きを電動駆動するパン・チルト機構と超望遠ズーム・レンズを併せ持つことで、幅広い範囲が撮影可能。河川や港湾における自然災害の監視や、ビルの屋上から俯瞰した都市監視、道路上での自動車のナンバープレートの識別など、日中に加えて夜間監視が必要とされる場所での使用に適している。