最先端チップの発表の場として、回路やLSI設計技術関係では「ISSCC」、アーキテクチャや機能に関しては「Hot Chips」というのが定着している。そのHot Chipsが開幕した。会場は、昨年に続いてシリコンバレーのAppleの本社にほど近いDe AnzaカレッジのFlint Centerという劇場である。Hot Chipsは長らく、Stanford大学のMemorial Auditoriumが会場であったが、最近は、Stanford大は学外の団体が主催する集まりに会場を貸すのを控えているとのことで、Flint Centerでの開催になっているという。

Hot Chips 27の会場となるDe AnzaカレッジのFlint Centerの入り口

チュートリアルのコーヒーブレークの時間にくつろいでいる参加者

初日の8月23日の日曜はチュートリアルで、午前は、はやりのDeep Learningのチュートリアル。午後はIoT関連の安価なハードウェアに関するチュートリアルが行われる。

8月24日と25日の2日間が正式の学会で、24日には、郵便番号の読み取りなどの文字認識技術の開発で有名Yann LeCun教授の基調講演が行われる。また、LeCun教授は、FacebookのDeep Learning研究を率いるディレクタでもあり、今回の基調講演での発表者の所属はFacebookと書かれている。

25日の基調講演にはQualcommのMat Grub CTOが登壇し、5Gへの道と題する講演を行う。

論文の中から、面白そうな発表を拾うと、Intelのウェアラブル用のウルトラローパワーのSoCのテストチップの発表、AMDのCarrizo APU、そして、Phytiumの64コアARMv8プロセサ、OracleのローコストのSPARCプロセサであるSonomaの発表などがある。

FPGAのセッションではXilinxとAlteraの最新のFPGAの発表に加えて、MicrosoftがDeep Learningのアクセラレータについて発表する。

GPUのセッションでは、Wisconsin大が開発しているオープンソースGPUであるMIAOWが発表される。昨年の発表からどれだけ開発が進んでいるのか興味が持たれるところである。また、GPUのセッションでは、AMDが次世代GPU、ARMがMali T-880 GPUについて発表する。

Hot Chipsは伝統的に最後の締めくくりはプロセサのセッションで、今年は、IntelのKnights LandingとXeon Dが発表される。Knights Landingは徐々に技術的な情報が出てきているが、今回の発表で、どこまで新しい情報が出てくるのかが注目される。

そして、U. C. BerkeleyからRavenと呼ぶRISC-Vアーキテクチャのベクタプロセサが発表される。大学の開発するプロセサであり、どのような新技術が盛り込まれているのかが注目される。

最後の発表は、 Cherry Trailのコードネームで開発されてきたIntelのAtom X5/X7-8000の発表である。

引き続きマイナビニュースでは、Hot Chips 27での注目の発表をレポートしていく予定である。