帝国データバンクは8月20日に、人手不足に対する企業の見解について調査した結果を公表した。調査対象は全国2万3,176社、調査期間は2015年7月17日~31日、有効回答企業数は1万1,008社(回答率47.5%)となる。

景気回復が緩やかに続き、リーマン・ショックによる不況で急落した有効求人倍率は年々増加している中で、8月に解禁となった採用活動も活発になるなど、企業において人材の獲得競争が依然として続いているという。また、独立行政法人労働政策研究・研修機構が2014年5月に発表した労働力需給の将来推計では、経済成長と労働参加が適切に進まない場合、2030年には労働力人口が最大で約872万人減少すると予測しており、将来的な「人材」の減少・不足を懸念する見方が広がっているとのことだ。

従業員の過不足状況を尋ねたところ、正社員が不足していると回答した企業は全体の36.2%だった。業種別では放送が72.3%と最も多く、次いで情報サービス業が60.6%だった。

従業員が不足している企業の割合

情報サービス業を含む専門知識・スキルを必要とする業種や、小売業で人手不足が深刻になっていると帝国データバンクは見ており、マイナンバー導入によるIT需要や、円安によるインバウンド消費の好影響が大きい業種で不足感が広がっているという。

非正社員については24.5%の企業が不足していると感じており、特に飲食店や飲食料品小売などで高い。訪日外国人の増加に伴うインバウンド消費額の拡大により、特に消費者と接する機会の多い業種で不足感が高まっている結果となった。