米国半導体市場調査会社IC Insightsが8月19日(米国時間)公表した「IC産業レポート年央改訂版」によると、マイコン(MCU)は、数量的には今後とも大きく伸びるが、前例のない価格下落により、売上高の増加には余りつながらないようだ。スマートカード、組み込みセンサ、IoTへの応用などが、低価格32ビットMCUの数量の伸びをけん引している。
この結果、MCUは2015年に数量ベースで前年比33%増加し254億個に達する見込みである。金額ベースでは、2014年159億ドル、2015年166憶ドルといずれも新記録を達成しているが、いずれも前年比4%の伸びに留まっている。数量ベースでは2桁増を続けているにもかかわらず、金額ベースでは微増にすぎない。
図1に示すように、MPUの平均販売価格(Average Sales Price:ASP)は、2014年は前年比12%減の0.83ドルだったが、2015年には21%低下して0.65ドルへと落下が継続すると予想される。IC Insightsは、2016年には数量ベースで25%成長し316億個、金額ベースで7%成長し177憶ドル、平均販売単価は14%の低下を予測している。
MCUの販売数量の増加は2014年から始まったが、これは、おもに、電子バンキングやクレジットカード決済、運賃精算カード、政府系ID(例えば、電子パスポート)、医療記録や警備などに使われるスマートカード向けに低コストMCUの出荷を急上昇しているためである。 ICカードマイコンの出荷台数は、2014年に26%増加したが、今年は41%と驚異的な成長をとげ129億個に達し、来年は さらに25%成長し161億個に達するとみている、
米国のクレジットカード会社、銀行、小売業、政府機関、およびその他の産業分野が2019年に向けて広く、安全な「チップカード」技術を採用し始めるためにMCUが大きく伸びるとみている。すでにヨーロッパや他の国々では1990年代から実施されてきたことである。米国では、個人情報の盗難が多発しており、この対策が迫られている。
IC InsightsはIoT関連MCUの販売は2015年に金額ベースで16%成長し4.05億ドル、数量ベースでは40%成長し4.31億個に達すると予測している。IoT向けのマイコンの平均販売価格は0.94ドルと、マイコン全体の平均販売価格よりも4~5割高い。