宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月19日、陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)による桜島の緊急観測を行い、南岳山頂火口の東側で最大16cm程度、衛星に近づく変位が観測されたと発表した。同観測は気象庁からの要請に基づき行われたもので、8月16日の夜と17日の昼に実施された。
「だいち2号」に搭載されたLバンド合成開口レーダ(PALSAR-2)で行った観測では、8月16日と今年1月の観測結果の比較から南岳山頂火口の東側の広い範囲で、最大16cm程度の衛星方向に近づく変位が確認された。また、8月16日とは異なる方向から実施された8月17日の観測では、今年7月の観測データとの比較から、南岳山頂付近では最大5cm程度の衛星方向に近づく地殻変動が、東側では最大6cm程度の衛星から遠ざかる地殻変動が見られた。
また、地球観測用小型赤外カメラ(CIRC)によって行った観測では、8月17日に取得した画像で、相対的に温度が低い山頂付近に、周囲と比較して5度程度、高く見える場所を確認。この高温域には火口内部の高温の領域が含まれていると考えられるという。
「だいち2号」搭載のCIRCによって2015年8月17日に観測された桜島付近の画像。右の拡大画像では、相対的に温度が低い山頂付近に、周囲と比較して5度程度、高く見える場所が確認された。CIRCは200m四方(200m分解能)の平均的な温度を示していて、山頂近くの高温域は火口内部の高温の領域を含んでいると考えられる。(C)JAXA |
JAXAは今後も、関係機関と協力し、桜島の観測を継続するとしている。