神戸大学は8月18日、土星のFリングとその羊飼い衛星が、土星衛星の形成過程の最終段階で、自然な副産物として形成されることを明らかにしたと発表した。
同成果は、神戸大学大学院理学研究科の兵頭龍樹氏と大槻圭史 教授によるもので、英学術誌「Nature Geoscience」に掲載された。
Fリングは主要リングの外側に位置する、幅数百kmの細いリングで、内側にプロメテウス、外側にパンドラという2つの羊飼い衛星を持つ。羊飼い衛星とは、自身の重力により、惑星のリングを保つ働きをしている衛星のこと。
最新の衛星形成理論では、かつて土星の周りに現在よりも多くの粒子を含むリングがあり、そこから拡散した粒子が集まって衛星が形成され、その最終段階では、小さな衛星が近い軌道に複数形成されるとされている。一方、探査機カッシーニによる観測から、主要リング外縁付近にある小衛星は密度の高い核を持つことが示唆されている。
今回の研究では、国立天文台が所有する計算機などを用いたシミュレーションにより、密度の高い核を持つ小衛星同士が衝突して部分的に破壊され、Fリングと羊飼い衛星が形成されたことを明らかにした。したがって、Fリングとその羊飼い衛星は、土星衛星系の形成過程の最終段階で、自然な副産物として形成されたと考えられるという。
このようなリングと羊飼い衛星の形成メカニズムは、同じようなリングと羊飼い衛星を持つ天王星にも当てはめることができ、今後太陽系内外の衛星形成メカニズムを解明する一端となることが期待される。