情報・システム研究機構統計数理研究所と外資系企業のSAS Institute Japanが、ビッグデータの活用を推進する「ビッグデータイノベーションラボ(BIL)」を共同で設立することになった。9月に活動を開始、一般企業をはじめさまざまな組織に、ビッグデータを活用するための実践的研究の場を提供する、としている。

情報通信技術(ICT)の進歩により、膨大なデータの蓄積とそれを利用した新しい知見やサービスの創出が期待されている。しかし、統計数理研究所とSAS Institute Japanによると、ビッグデータを分析し、成果を創出する肝心の人的資源は圧倒的に不足している。さらに、データ科学に関する高度な知識とビッグデータを扱う環境を提供、支援する組織や場が国内に存在しない、という現実もある。

統計数理研究所は、大規模で複雑なデータから有益な情報を抽出するためのスーパーコンピューターやクラウドシステムなどの計算施設・能力を保有している。BILが設置されるのは、統計数理研究所の統計思考院と呼ばれる組織。既に大規模データを活用した数学的モデル化や研究調整など、大規模データ時代に求められる統計思考ができる人材の育成を担っている部門だ。

一方、SAS Institute Japanは、経営課題解決を支援するソフトウエアやサービスを提供する企業として知られるSAS Institute(本社:米ノースカロライナ州) の日本法人。1985年に設立されて以来、国内企業1,500社に経営課題解決策を提供している。

統計数理研究所の高度な数理モデル開発能力と、SAS Institute Japanの最新の分析アルゴリズム(数学的問題解決手順)やビッグデータ分析に特化した最適なソフトウエアを融合し、医療・健康、エネルギー、インフラ、交通などビッグデータが継続的に創出される企業、公共団体の課題解決に一体となって取り組む、と両者は言っている。

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