東京商工リサーチは8月11日、「マイナンバー法のスタートに関するアンケート」の結果を発表した。同調査は、6月23日から7月7日にかけてインターネットによるアンケートを実施し、有効回答を得た全国4942社の回答を集計・分析したもの。
まず、メリットについては、全体では「メリットはない」が3258社(構成比65.9%)で最多だった。これに「情報管理がしやすくなる」が742社(同15.0%)、「業務の効率化」が518社(同10.5%)と続き、6割以上の企業が制度にはメリットがない、と否定的な回答を寄せた。
デメリットについては、全体では「情報漏洩リスク」が2634社(構成比53.3%)で最多だった。これに、「業務の煩雑化」が750社(同15.2%)、「業務量の増加」が596社(同12.1%)、「コスト増加」が409社(同8.3%)と続き、業務への負担を指摘する回答が1346社(同27.2%)で約3割を占めた。
マイナンバー制度導入の準備については、全体では「検討中」が2841社(構成比57.5%)で約6割を占め最多。これに「未検討」が1579社(同32.0%)、「システム設計・改修中」が386社(同7.8%)、「概ね完了」は136社(同2.8%)の順で続く。「未検討」が30%を超えたのに対し、「概ね完了」はわずか2.8%にとどまった。
「未検討」と回答したのは、大企業が約1割(12.9%)だったのに対し、中小企業などでは3割以上(35.3%)と、大企業に比べ中小企業等の準備が遅れていることが明らかになった。
マイナンバー制度導入への対応や想定については、全体では「情報漏洩セキュリティ体制強化」を選択した回答数が2463(構成比19.7%)で最多だった。これに、「従業員などのマイナンバー把握・管理方法策定」が2260(同18.0%)、「社内での周知」が2073(同16.5%)と続き、回答数が2000を超えた。
また、自社のビジネス展開へのマイナンバー、法人番号制度の影響については、全体では「影響はない」が2918社(構成比59.0%)で約6割を占めた。しかし、「新規顧客向け新商品・サービスの提供」「従来顧客向け新商品・サービスの提供」「新規顧客向け従来商品・サービスの提供」「従来顧客向け従来商品・サービスの提供拡大」「新規市場参入」から回答を1つ以上選択した、ビジネスチャンスとしてとらえている企業は933社で約2割(18.8%)だった。
マイナンバーおよび法人番号制度導入の費用については、全体では、「わからない」という回答が2421社(構成比49.0%)でトップだった。これに、「50万円未満」が901社(同18.2%)、「未回答」が608社(同12.3%)、「50万円以上100万円未満」が526社(同10.6%)、「100万円以上500万円未満」が371社(同7.5%)の順で続く。