日本マイクロソフトは8月10日に記者発表会を行い、8月24日~28日に同社が実施する「テレワーク週間 2015」の取り組み内容について説明した。

2012年からテレワーク推進を行ってきた日本マイクロソフト。2013年までは自社単独で実施し、2014年は32の法人と共同で取り組んできた。3回目の実施となる今年は、テレワークを実践する法人だけでなく、応援・協力する法人など対象を広げて呼びかけた結果、8月10日時点で賛同する法人は651社になるという。さらに、今年同社では新たな挑戦として、地方創生への協力も取り組むことが発表された。

日本マイクロソフト 代表執行役 会長 樋口泰行氏

日本マイクロソフトの代表執行役 会長の樋口泰行氏は、2014年の同社の活動結果から、テレワークを阻害する要因を次のように語った。

「まず、『オンライン会議の仕組みがない』といったICT環境による要因と、勤怠管理やセキュリティなど社外で仕事ができない制度による要因、そして一番大きな問題は『そもそもテレワークの発想がない』といった、マインドによる要因が浮かび上がった。『部下は目の前で仕事をさせなければいけない』といった、古い考え方を変えてく必要がある」(樋口氏)

このような教訓から、「テレワーク週間 2015」では、「テレワークを実践する」以外にも、「テレワークを学ぶ/議論する」「テレワークを応援する/協力する」という観点での取り組みも予定されている。

日本マイクロソフトが実施した2014年の「テレワーク週間」意識調査結果による「テレワークを阻害する要因」

「テレワーク週間 2015」賛同法人

賛同法人の内訳は、大手企業が約8%、公共機関が約8%、残りの約8割が中小企業による構成だという。賛同法人の取り組み内容として、ソニーでは、これまで育児や介護の支援に限定していた在宅勤務制度を、全社的に拡充・展開することを見据えた実証実験として実施することを表明している。カラオケルーム歌広場とジャンカラでは、テレワークスペースとして、カラオケルームをテレワーカー向けスペシャル価格で提供するという。

日本マイクロソフトの取り組み内容としては、賛同法人向けにセミナーを実施したり、中学生へのテレワークセミナーの開催を予定するなど、テレワークを学べる機会を用意するという。また、テレワーク週間中、品川にある同社の本社オフィス1階をテレワークスペースとして賛同法人に開放したり、中堅中小企業に対しては、「Office 365 テレワーク体験無償セットアップ」を提供する予定としている。さらに自社の実践内容としては、全社一斉のテレワーク実施、派遣スタッフの在宅勤務トライアルのほか、普段テレワークを実施しないカスタマーサポート部門のテレワーク実践が挙げられている。

日本マイクロソフト テレワーク推進 担当役員 織田浩義氏

同社のテレワーク推進 担当役員の織田浩義氏は、「今回のテレワーク週間では、自宅以外の場所で働くことへの可能性を模索したい。そこで、あえてテレワークの実践が難しいと言われるカスタマーサポート部門を、北海道に移して挑戦する」と語った。

同社は、地方創生の取り組みとして、北海道別海町で滞在型テレワークの実証実験を行うことを発表した。

今回の実証実験では、日本マイクロソフトの社員自身が、別海町で滞在型テレワークを実施するという。3つの期間にわかれての実施となり、第1期はテレワーク週間の開催にあわせた、8月24日~28日で実施する予定となっている。実施場所については、旧光進小中学校跡地を利用するという。

「これまでテレワークというと在宅勤務を中心に考えられてきたが、今回は自宅以外で一定期間働くことにチャレンジする」(織田氏)

また、同社では「ファミリー滞在型テレワーク」での実証実験を考えており、これは、家族と一緒に別海町へ行き、同社の社員は平日は仕事をし、週末・休日に家族と共に過ごす働き方の検証だとしている。同社ではこの交通費を一部負担するとしており、社内では多数申し込みがある状況だという。

日本マイクロソフト エグゼクティブアドバイザー 小柳津篤氏

最後に、同社のエグゼクティブアドバイザーである小柳津篤氏は、これまでの同社の取り組みについて、次のように振り返った。

「これまでのテレワークの考えられ方は、育児中の女性が在宅勤務を行うなど、『一部の社員』の『ある局面』を対象に、今の仕事を別の場所で行うことを考えられてきた。しかし、当社のテレワークの考え方は、『全員』が『毎日』必要な時に、必要な人と、必要な対話/情報を交わすことだと捉えている。これは、コンピューターとクラウドサービスの配布だけで実現できるものではない。就業規則からICTの使い方など、あらゆることをこの考え方に即して変えていく必要がある。この業務スタイルの変化を行うのに、当社では8~10年程かかって、やっと成果が見えるようになってきた」(小柳津氏)

従来のテレワークの考え方と、日本マイクロソフトのテレワークの考え方の違い

2010年と比べて、現在はさまざまな分野で効果が表れている

同社は、この「テレワーク週間 2015」を先駆けとして、今年の11月に実施される総務省などが参画するテレワーク推進フォーラムによる「テレワーク月間」において、今回の活動結果をフィードバックし、日本のテレワーク推進への貢献を目指すと決意を表明した。