こんにちは、SMMLabの藤田です。

SMMLabでは2012年1月から毎週、ソーシャルメディアを活用したプロモーションキャンペーンをご紹介しています(http://smmlab.jp/?cat=180)。

今回は、これまで累計1500件以上のキャンペーン事例をご紹介してきた中で見えてきた、今後のWEBキャンペーンで重要になりそうなポイントをお伝えしたいと思います。

今やWEB抜きでプロモーション施策を考えるほうが難しい時代になってきていますが、単にWEB上でキャンペーンを開催するだけでは、応募ハガキが応募フォームに置き換わっただけで終わってしまいます。

WEBキャンペーンは、顧客候補となりうる新しい生活者との接点創出を目的に実施される場合も多いと思いますが、認知を獲得するだけにとどまらず、キャンペーンをきっかけに接点を持った生活者が購買者になるまでアプローチし続けることが出来たらどうでしょう?WEBキャンペーンを関係構築の一歩で終わらせず、成果への初動にすることが出来るはずです。また、SNSを通じて関係性を構築したファンやフォロワーを対象にしたキャンペーンも、継続的に開催する中で徐々に成果に近づけるための工夫は欠かせません。

そのために、これからのWEBキャンペーンでは以下の3点を考えておく必要があります。

1. 複数SNSの活用

TwitterやFacebookだけでなく、YouTubeやLINE、Instagramなど、日本でも多種多様なSNSが普及し、ユーザーは状況によってコミュニケーションの手段を使い分けるようになっています。そのため、各サービスを活発に利用するユーザー層にも特徴が出始めており、WEBキャンペーンを開催する場合にはターゲットとなる消費者が活用しているSNSを見極める必要があります。

しかし、ユーザーは情報取得、情報拡散、情報消費を同じSNSで行うとは限りません。LINEで知ったキャンペーンをTwitterでつぶやき、Facebookで参加するというような使い分け方も増えてきています。また、Instagramのように情報拡散の仕組みがないSNSは他のSNSと組み合わせることが必要になる場合もあります。

ですから、これからはFacebookキャンペーンやTwitterキャンペーンといった単一SNSでの実施ではなく、ユーザーがどのSNSからでも参加でき、投稿するSNSが選べるようにすることが必要なのです。

2. マルチデバイスへの対応

さらに最近は、パソコンやスマホ、タブレットなど、1人が複数のデバイスからインターネットにアクセスし、5人に2人は毎日2台以上のデバイスを使う「マルチスクリーン」の時代になっています。(Yahoo!JAPAN調べ)生活者は、利用時間や場所、目的によって様々なデバイスを使い分けるようになってきているのです。

参照:http://i.yimg.jp/images/listing/tool/portal/mscblog/multiscreen.jpg

通勤・通学の時間にスマホで知ったキャンペーンに、帰宅後PCから参加する、逆にPCで調べ物をしていてキャンペーンを知り、後日店頭で買い物をした際にスマホからキャンペーンに参加するということもあるでしょう。

また、Googleは今年4月21日から、スマートフォン対応していないサイトは、モバイル検索結果における順位が下がるアップデートを実施しました。

参照:http://googlewebmastercentral-ja.blogspot.jp/2015/04/rolling-out-mobile-friendly-update.html

こうしたことからも今後はWEBキャンペーンもマルチデバイス対応が必須となっていくでしょう。

3. 参加者データの蓄積・活用

これまでのWEBキャンペーンでも、「参加者数」や「個人情報」といった“データ”は蓄積されているかもしれません。しかし、「参加者数」はどれだけの人が興味・関心を持ってくれたか?というキャンペーンの認知の広さしか分かりませんし、「個人情報」からは年齢・性別・居住地といった 人口統計学的属性の一部しか知ることが出来ませんでした。

これがSNS、例えばFacebookなら、友人の数やどんなことに「いいね!」しているか、過去の参加履歴などが分かるので、一定条件に当てはまるFacebookユーザーを抽出してFacebook広告のターゲットに設定することも出来ますし、キャンペーン参加時にアンケートを実施することで、次のアプローチのヒントを得ることも出来ます。

しかし、自社で取得している既存「購買者」のデータや、ソーシャルリスニングなどによる潜在顧客や一般ネットユーザーといった「認知者」のデータはしっかりと溜めているという企業であっても、キャンペーンに参加してくれた、つまりキャンペーンをきっかけに能動的に興味・関心を持ってくれた「関心者」のデータは、まだあまり蓄積・活用出来ていないのではないでしょうか?

消費者の購買行動をフレームワークで考えると、ソーシャルリスニングなどで把握した「認知者」のデータと、自社の「顧客者」のデータだけでは、購買に影響した要因を特定するのは難しいことがお分かりになると思います。

そこで、キャンペーンに参加した「関心者」のデータを中間地点として持つことで、「認知」から「関心」、「関心」から「購買」に何が影響したのかを比較分析することが可能となり、成果に繋げる「次の一手」を検討することが出来ます。

このようにWEBキャンペーンのデータを「関心者」データとして蓄積活用することで、認知者を関心者に、関心者を購買者に転換する「必勝パターン」が見えてくれば、営業支援システムやCRM、マーケティングオートメーションの効果的なシナリオとしても活用できるでしょう。

現在ではFacebookやTwitter、InstagramといったSNSを参加の入り口としたソーシャルメディアキャンペーンも一般的になってきましたが、SNSと連動させたキャンペーンを「成果」につなげていくには、態度変容の時期と作用要因を把握するために、参加者=「関心者」のデータを継続的に蓄積していくことが大切であり、少しでも早く始めることが重要です。

SNSをマーケティングに活用することで、企業は消費者と単に繋がるだけでなく、継続的な関係性=エンゲージメントを醸成することが可能になりました。そして、今後はこのエンゲージメントをどうやってビジネスゴール=成果につなげていくかが課題となっていくでしょう。そうした流れの中で、「複数SNSの活用」「マルチデバイスへの対応」「参加者データの蓄積・活用」という3つのポイントをおさえたWEBキャンペーンは、今後ますます重要な施策になると言えます。

次のWEBキャンペーンも「実施するだけ」でいいですか?

本稿は、ソーシャルメディアマーケティングラボにて掲載された記事を転載したものです。

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