オートデスクと日本設計は8月5日、昨年9月にパートナーシップを結び推進してきた、次世代BIM(Building Information Modeling)の実現を目指した取り組みについて進捗を発表した。

今回の取り組みでは"3Dモデル"と"情報"を融合させた「Integrated BIM」を確立するため、オートデスクのBIM専用ソフト「Autodesk Revit」を共通プラットフォームとして整備し、設計の"情報"を全社で標準化したという。

「Integrated BIM」のポイントは、「Revit」上に情報を統合することで、さまざまな用途に応じて情報を「Revit」からアウトプットできるようにしたことだ。これによって、より見やすい図面の作成が可能となる新たな作図方法が可能となったほか、BIMの情報と概算システムを連携させることで概算の迅速化を実現した。また、従来はシミュレーションを実施するには元のデータを変換しなければならなかったが、プラットフォームを整備したことで、シミュレーションソフトにBIMからデータを直接持ち込むことが可能となり、効率の向上につながったという。さらに、同手法は建築・構造だけでなく設備の領域もカバーしており、スペースの室諸元情報や機器仕様を設計・FMに活用することが可能となっている。

「Integrated BIM」のイメージ図

BIMを活用し作成した図面

概算システムとの連携

シミュレーションが効率化できたことで、検討の品質も向上する

こうした成果について、日本設計の取締役 専務執行役員である福田卓司氏は「当初の目標を(達成した)という意味では100点。設備の連携も含めれば100点を超えている」と自信を見せる。実際、同手法を導入したプロジェクトがすでに数件進行しているとのことで、施工者から見やすくなった図面について好評を得るなど、外部の業者との連携という意味でも一定の手応えを感じている。

今後は、「Revit」のアドインとして利用できるパラメトリック設計ツール「Dynamo for Autodesk Revit」を使用し、シミュレーターとパラメトリックデータを連携させることで、ライフサイクルコストを自動で計算できるようにするなど、"3D"と"情報"の融合をさらに進めていくほか、「Integrated BIM」の普及を社内外で図っていくとしている。

日本設計 取締役 専務執行役員の福田卓司氏

「Dynamo」の導入により、"3D"と"情報"の融合を深化させるという