日立製作所は8月4日、物流倉庫などで商品を棚ごと搬送する無人搬送車向けに、搬送による商品棚の移動を検知し、無人搬送車に登録された商品棚の配置図をリアルタイムに更新しながら自車の位置を認識する技術を開発したと発表した。
同技術により、これまで走行ガイドとして床面に敷設していたマーカーを使用せずに、無人搬送車の自律走行が可能となる。マーカーが不要になることで、敷設・保守コストを削減できるほか、走行経路や設備レイアウトの設計自由度を高めることが期待される。
今回開発した技術は、無人搬送車に事前に登録する配置図を、倉庫の壁や柱などの「動かない領域」と商品棚などの「動く領域」に分けて管理し、この配置図と距離センサーで計測した柱や商品棚の位置情報を照合することで自車の位置を認識した後、「動く領域」にある商品棚の配置のみを更新する。
これにより、本来動くはずのない壁や柱の位置を誤って変更してしまうことなく、配置図の精度を高く保ち続けることが可能となる。
さらに、配置図の更新対象を「動く領域」のみに限定したことにより、配置図を更新する時間の短縮を実現している。
これらにより、無人搬送車は、商品棚の配置が移り変わる中で、その変化をリアルタイムに配置図に反映し、自車の位置を認識し続けることができる。
同社は、同技術を既存の「Racrew」(小型・低床式無人搬送車)に搭載して、床面マーカーを敷設していない小規模な実証スペースにて商品棚の搬送を繰り返す実験を実施。その結果、搬送によって変化する商品棚の配置をリアルタイムに配置図に反映させながら自車の位置を認識し、自律走行と商品棚の搬送作業が可能であることを確認したとしている。