ジェイティービー(以下、JTB)とPaypalは7月23日、東京都・天王洲アイルにて共同記者説明会を開催し、スマートフォンだけで電子チケットの購入と利用が可能な「PassMe!」の提供を開始すると発表した。
JTB グループ本社執行役員 事業創造部長 鈴木雅巳氏 |
開会後の挨拶で壇上に立ったJTBのグループ本社執行役員 事業創造部長 鈴木雅巳氏は、「弊社の中で遅れが目立つレジャー向けサービスについて、特にオンライン販売を強化する必要がありました」と語る。そこで開発されたのが、スマートフォン(スマホ)向けに特化した「PassMe!」だ。
PassMe!で何ができるの?
PassMe!は、リゾート施設やアトラクション、ミュージアムなどの施設やサービスのチケット検索・購入や、施設でのチケット提示、入場認証までをスマホで完結させることができる電子チケットサービス。これらの機能のほか、イベントなどの最新情報の提供や、購入したチケットの管理、レビュー投稿といった機能も持つ。
中でも最新情報の提供に力を入れており、LINEビジネスコネクトを活用し、ユーザーの居住地情報を基にしたおすすめ情報を提供するなどの仕組みを構築した点も特長だ。
両社によると、同サービスのコンセプトは「モバイルファーストなサービス」。スマホを活用することで、入場施設等のチケットのオンライン販売と、実際に来場してからの利便性を向上させるという狙いがあるという。
同サービスにて購入できるチケットとしては、最大70%オフを含むクーポンや、将来的にはセット券や回数券、選択型のチョイス券など回遊型のチケット提供も予定。購入後の支払いでは、Paypalとの事前契約により取得するIDとパスワードがあれば、名前や住所、クレジットカード番号の記載などを入力せずとも利用できる。ちなみに、通常のクレジットカード決済も可能だが、こちらは基本情報やカード番号の入力が必要だ。
また、イベントなどに来場した際は、事前購入した電子チケットをスマホ上に表示するだけで入場が可能。施設側は、表示された画面の施設名やチケット名、人数を確認し、JTBが用意した電子スタンプを押印するだけとなる。
このスタンプは、電池や充電が不要で管理が容易なため、施設側における負担はほぼ無い。押印されたスマートフォンの画面には、PassMe!のメインキャラクターが表示されるなどの工夫もあり、子供が喜びそうなデザインを採用した点も面白いところだ。
加えて、同サービスで入手したチケットは、LINEやメールで同行者へ共有・配布することができる。例えば、集合時間に遅れてしまった人がいても、チケットを事前に渡しておけば個人で入場できるため、購入者の負担も少ない。
PayPalと組んだ目的とは?
「2019年度までにサプライヤー数5,000件、商品数1万5,000件、取扱額80億円を目指したい」と鈴木氏は語る。その目標達成のために選んだパートナーがPayPalだ。
同日の共同記者説明会に登壇したPayPal 日本支社社長のエレナ・ワイズ氏は「私たちは、サービスの特長として安心と安全を掲げており、確かなクレジットカード決済を提供することができます。PassMe!のパートナーとして、JTBがPayPalを選んでくれたことをとてもうれしく光栄に思っています。これをきっかけに訪日客などさまざまなサービスやビジネスにおいて、今後もご一緒したいと考えています」と協業の喜びを語る。
JTBの鈴木氏とPayPal 日本支社社長のエレナ・ワイズ氏 |
同サービスを利用するユーザーとしては、やはり、セキュリティが気になるところだろう。PayPal利用者には、同サービスの特長でもある高度な不正検システムや年中無休のカスタマーサポート、万が一不正があっても全額保障される買い手保護制度などが適用されるため安心だ。
また、PayPalといえばグローバルスタンダードな電子マネーサービスの1つであることから分かるように、PassMe!も、日本へ訪れる訪日外国人へのサービスとしても活用しやすい環境を整えている。今後、多言語対応なども予定するため、こちらの動きにも注目したい。
2015年末には利用者数10万人、加盟施設3,000カ所、6,000種のチケット取り扱いを予定しているというPassMe!。会場でおこなわれたデモを見る限り、チケット決定から2,3分後には購入が完了する簡単明瞭な仕組みが印象的だった。すでにグランドオープンしているので、気になるユーザーは一度チェックしてみると良いだろう。