京都大学を中心とする研究グループは7月22日、アンモニアを直接燃料とした固体酸化物形燃料電池(SOFC)で、世界最大規模となる200W クラスの発電に成功したと発表した。

同成果は京都大学大学院工学研究科の江口浩一 教授、ノリタケカンパニーリミテド、三井化学、トクヤマの共同研究によるもので、7月26~31日にスコットランド・グラスゴーで開催される「ECS conference on Electrochemical Energy Conversion &Storage with SOFC-XIV」で展示発表される予定。

アンモニアは炭素を含まず水素の割合が多い水素キャリアとして注目されており、発電用燃料としての利用が期待されている。

今回の研究では、アンモニアを直接燃料として供給できる独自のSOFCスタックを開発。同スタックに直接アンモニア燃料を供給して発電を行ったところ、純水素と同等レベルの発電特性が確認された。また、燃料電池の直流発電効率は255Wにおいて53%(LHV)を達成した。

今後は、アンモニア燃料を用いて家庭で使用可能な出力である1kWクラスの実証実験を行う予定だ。

開発したアンモニア燃料電池スタック

直接アンモニア燃料電池は、電解質であるジルコニアの片面に取り付けた燃料極に発電の燃料となるアンモニアガスを直接供給し、反対側の空気極に空気を供給することによって、両極の間で電力を発生させる原理に基づいている。