アマゾンデータサービスジャパン ストラテジックソリューション部 部長 大谷晋平氏

アマゾンデータサービスジャパンは7月14日、報道陣に向けてAmazon Web Service(AWS)の最新のサービスアップデートに関する説明会を開催した。

説明会では、同社ストラテジックソリューション部 部長の大谷晋平氏が、7月9日(現地時間)に行われたAWS Summit New York 2015にて発表されたAmazon API Gatewayなどの新サービス内容に加え、過去数カ月間に発表されたAWSのサービスについて解説した。

2006年よりクラウドサービスを提供開始し、常に新しいサービスを生み出してきたAWSは、2014年だけで516、2015年も5月末時点で275の機能やサービスを追加している。

AWSのさまざまなサービス

加速するイノベーションのペース

イベント駆動型のコード実行サービス「AWS Lambda」

6月末に東京リージョンで利用可能になったAWS Lambdaは、イベントをトリガーにコードを実行できる、OSやキャパシティなどのインフラ運用が不要なコンピュートサービスだ。コードを書いてデプロイすれば、イベント駆動で、S3やDynamoDBといったクラウドのリソース側から指定されたコードを呼び出すことができる。これまではNode.jsのみの環境だったが、Javaでも利用可能になったという。たとえば、S3に画像を上げた後にサムネイル画像をLambdaで作成したり、DynamoDBにデータが入ったタイミングで、テーブルへのコピーやバックアップ、値のチェックを行うなどといったことができるようになる。

またLambdaは、家庭用スピーカー「Amazon Echo」に採用されている音声認識サービス「Alexa」のソフトウエア開発キット(SDK)との連携が可能で、「IoTやモバイルプラットフォームで次のイノベーションを起こすような画期的な取り組み」と大谷氏は期待を寄せている。AlexaのSDKは、デベロッパーフォーラムに登録すれば無償で利用することが可能だ。

「AWS Lambda」の概要

「AWS Lambda」×「Alexa」

API運用・管理ツール「Amazon API Gateway」

複数のバージョンやステージング環境でのAPI管理が可能な「Amazon API Gateway」は、APIを中心にITインフラを提供してきたAWSのノウハウが詰め込まれたサービスだ。API Gatewayでは、作成したAPIにLambdaのファンクションを割り当てることで、サーバレスでAPIサーバをマネージすることができる。APIキーの作成・配布や、AWS Sigv4によるオーサライズ、バックエンドのスロットル・モニタリング機能なども備えており、レスポンスのキャッシングやDDoS攻撃に対する保護などについてもカバーしている。料金は100万APIリクエストあたり$3.5となっている。

「Amazon API Gateway」の仕組み

機械学習の裾野を広げる「Amazon Machine Learning」

昨今話題となっている「機械学習」を有効活用したアプリケーションが需要の割に登場してこない理由について大谷氏は、機械学習の専門家が少ないこと、仕組み作りやスケールさせることが技術的に困難であること、モデルとアプリケーションのギャップを埋めるには長い時間と高い費用が必要になることを挙げた。こういった状況を変えようとしているのが、「Amazon Machine Leaning」だ。Amazon Machine Learningでは、AWS側が機械学習のアルゴリズムを提供しており、また必要なワークフローが用意されたパッケージソフトとなっているため、機械学習の専門家だけでなく、初学者でも使えるサービスとなっているという。取り扱える予測モデルのアルゴリズムとして現状は、二項分類、多クラス分類、回帰分析を用意。メールのスパム判定、商品の分類、売上予測などに利用できる。

「Amazon Machine Learning」で取り扱える予測モデルとアルゴリズム

予測の手法としては、大きく分けて「バッチ予測」と「リアルタイム予測」の二通りがある。バッチ予測では、Amazon S3などにアップロードされた予測対象データに対してまとめて予測を実施。リアルタイム予測では、Amazon Kinesisのようにデータ1件ずつに対してAPIを使って予測を実施する。利用料金はいずれも1000回ごとに$0.1となっている。

モバイルアプリのテスト環境「Amazon Device Farm」

AWS Summit New York 2015にて発表された「Amazon Device Farm」は、モバイルアプリのテスト環境を開発者に提供するサービスだ。現状はAndroidアプリのみへの対応となっているが、約200程度のモバイルアプリのテスト環境が用意されており、実機を用意しなくてもさまざまな環境での動作確認が可能となる。料金体系として、従量課金モデルと非従量課金モデルが用意されている。今後は、iOSアプリへの適用と東京リージョンでの提供も進めていく考えだ。

「Amazon Device Farm」の提供価格