日本オラクル 執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括 HCMクラウド統括本部長 首藤聡一郎氏

日本オラクルは7月9日、人材管理やタレント/マネジメントをクラウド型で提供する人事アプリケーション「Oracle Human Capital Management(HCM) Cloud」の拡張機能として、次世代のワークスタイルを支援するツール「Work Life Solutions」を発表した。

「Oracle HCM Cloud」は、「Oracle Global Human Resources Cloud」「Oracle Talent Management Cloud」「Oracle Social Cloud」といったアプリケーションによって、人事業務のライフサイクルを包括する機能を提供する。

執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括 HCMクラウド統括本部長 首藤聡一郎氏が、同社が新製品を提供する背景について説明した。同氏によると、現在、世界中で人材不足が起こっており、将来はカギとなるスキルが不足することが予想されており。世界のCEOは「ビジネスをドライブできる人材」を確保・育成することを最大の課題ととらえているという。そのためには、これまでの人事の戦略を変えていかなければならないと考えているとのことだ。

「Oracle Human Capital Management Cloud」における「Work Life Solutions」の位置づけ

同社ではこうした背景の下、同社のユーザーの意見に基づいて、今後の人事業務を支える柱として「事実に基づいた意思決定」「社員のコンディションへの配慮」「隠れた優秀な人材の発掘・維持」を立てている。

「事実に基づいた意思決定」とは、企業が抱える多様な情報を活用して事実に近い仮説を立案することを意味する。例えば、Oracle HCM Cloudでは、離職リスクの計測や後継者計画のリスクを予測することができる。

「社員のコンディションへの配慮」は、Work Life Solutionsのラインアップのうち、「My Wellness」と「My Competitions」によって実施する。「My Wellness」はウェアラブル端末から得た社員の健康や体力維持・向上に関わる情報を社員の健康を管理するほか、社員の労働環境の向上にも役立てる支援をする。「My Competitions」は求められるスキルを社員同士がゲーム感覚で競う機能があり、社員間のコミュニケーションやゴール達成に向けて仲間意識や成長を促す相乗効果を醸成する。

「My Wellness」の操作画面。健康に関わる目標の進捗管理を行ったり、仲間とコメントをやり取りしたりすることができる

「隠れた優秀な人材の発掘・維持」は、Work Life Solutionsのラインアップの「My Reputation」によって推進できる。「My Reputation」は、従業員のソーシャル・メディア分析を任意で企業と共有し、企業は就業時の成果に加えてソーシャル・メディアにおける社員の影響力やスキルを評価項目に活用できる。あわせて、従業員のソーシャル・メディアで不適切な書き込みを確認することもできるため、企業のコンプライアンスの強化にも貢献する。

「My Reputation」の操作画面。オプトインを承諾した従業員のFacebookやTwitterから、企業にとってマイナスとなるコメントを収集することも可能

首藤氏は、Work Life Solutionsの意義について、「今、存在していない情報を作り出すことで、人事業務を変革していく」と語った。

競合製品に対する同製品の強みとしては、「プライスウォーターハウスクーパースが保有しているサラトガというベンチマークをベースとしたアルゴリズムを採用している」「情報を適切に守ることができる」「オラクルの各種クラウドサービスによって、人事関連のシステムを他の業務システムとつなぐことができる」点が挙げられた。