アドビ システムズは、小学館が展開する電子雑誌における読者の閲覧傾向を分析するため、同社のデータ解析ソリューション「Adobe Analytics」が採用されたと発表した。

小学館はファッション誌の電子雑誌として「CanCam」「美的」「AneCan」「Oggi」「Domani」「和樂」「Precious」「MEN’S Precious」「SAKURA」という計9誌の配信を2013年9月から開始し、現在では計12誌の電子版を展開している。同社はこれら電子雑誌の制作・配信において、アドビの電子出版ソリューション「Adobe Digital Publishing Solution (Adobe DPS)」を導入しており、紙版と同様の高品質な写真素材や文章を電子版で提供するのはもちろん、紙版にクーポンコードを付与することで紙版と電子版を連動させた新たなコンテンツも展開。また、Adobe DPSが持つ解析機能により、読者層ごとの閲覧状況なども分析していたという。

しかし、さらに高度なデータ解析のニーズが高まったことから、同社はAdobe DPSとの親和性が高いAdobe Analyticsの採用を決定。これにより、記事や広告の閲覧状況、平均滞在時間、アプリのダウンロード数などをリアルタイムで収集・解析・効果測定することが可能となり、記事コンテンツや広告のより正確な最適化ができるようになった。加えて、複数の電子雑誌を横断してのコンテンツ分析や、コンテンツ毎のデータ可視化、読者の離脱分析、モバイルアプリの分析、モバイルアプリ内のコンバージョン分析、動画分析といったことも可能になったため、解析データをもとに電子雑誌の閲覧体験をさらに高めていくことが期待できるという。なお、日本の出版社で、Adobe DPSとAdobe Analyticsを組み合わせた事例はこれが初となる。

今回の採用の理由について、小学館のデジタル事業局 コンテンツ営業室課長の小沢清人氏は「Adobe Analyticsはオーディエンスデータの収集・統合、分析、広告配信といった一連の機能の連携があらかじめ取れているため、余計な開発や投資をすることなく、広告運用の効率化を図り、顧客と最適なコミュニケーションがとれるようにするという我々のビジョンの実現が可能になると判断しました」とコメント。今後、同社はアドビのプレミアパートナーであるアイ・エム・ジェイによるコンサルティングサービスのもと、Adobe Analyticsで分析したデータの戦略的な活用方法を模索していく。