サイバーエージェントの連結子会社であるCyberZは7月8日、シード・プランニングのデジタル領域の市場・サービス調査機関であるデジタルインファクトと共同で、アジア太平洋地域(APAC)13カ国・地域のスマートフォン広告市場動向調査の結果を公表した。
調査によると、2014年はスマートフォン端末の幅広い普及とインターネット利用の拡大を背景に、APAC全域でスマートフォン広告市場が急成長し、市場規模は1兆2343億円、前年比256%と急速に拡大。特に域内最大の中国市場が飛躍的な成長を遂げ、日本市場がそれに続く。
中国市場では、政府が欧米を中心とする外資大手IT事業者の参入規制を実施したことにより、政策的な保護のもと、Baidu、Alibaba、Tencent、Weiboなど中国の大手IT事業者がマーケットシェアの多くを占め、そのユーザー数は、数億人という膨大な規模となっている。2014年は、低価格で高品質なスマートフォン端末が急速に普及し、ユーザーのスマートフォントラフィックが急増したため広告費のモバイルシフトが進んだ。
韓国・台湾は、日本と同様に高機能なスマートフォン端末の普及が進み、通信環境も高度に整備されているため、ユーザーのオンライン上でのコンテンツ、商品・サービスの消費行動において、スマートフォンシフトが急速に進行中。また、どちらの国も、日本と市場特性に多くの共通点が見られるという。
韓国の2014年のスマートフォン広告市場規模は839億円で、対前年比174%の高水準の成長を遂げているが、2015年以降もスマートフォンゲーム、Eコマースサービスのプロモーション需要が引き続き好調に推移するほか、PC向けインターネット広告費も予測され、2018年には1,942億円に達すると予想される。
一方、台湾のスマートフォン広告市場は、スマートフォン広告を活用したプロモーションへの注目度が急速に高まりつつり、2014年の市場規模は143億円で、対前年比219.5%の急成長となった。今後も、引き続き高い水準での市場成長が見込まれ、2018年には692億円に達することが予測されている。
スマートフォン広告市場は本格的な立ち上がり前の状況にあるものの、スマートフォン主導によるインターネット利用の環境整備が進みつつある。加えて、これらの地域ではソーシャルメディアの浸透率が高く、利用時間も世界で最も高い水準と言われており、今後、数年内に、スマートフォン広告の成長に必要な市場環境が整備され、中長期での高い成長が期待されるという。
このことから、東南アジア地域(シンガポール、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン)の市場規模は、2014年の154億円から、2018年には約8倍の1231億円に拡大すると予想する。
近年IT産業への投資が進むインドでは、フィーチャーフォンからスマートフォンへとモバイル端末の急速なシフトが進んでおり、スマートフォン広告によるプロモーションが拡大していることから、2015年から2016年にかけて前年比200以上の急激な成長を遂げることが予想。さらに2018年には、2014年の約13倍規模の778億円に拡大すると予想されている。
オーストラリアは、オンラインユーザー1人当たりのデジタル広告費が世界最高水準と言われ、今後もデジタル広告費のPCからスマートフォンへのシフトのほか、グローバル企業や国内企業の旺盛な需要を背景に、市場は順調に拡大することが予想される。
APAC域内のスマートフォン普及台数の順調な増加や、世界のデジタル広告産業からの投資、また今後の経済成長により、広告市場全体が成長しスマートフォン広告市場の活性化が進むと考えられることを背景に、2018年のAPACスマートフォン広告市場は、2014年の1兆2343億円から、2018年には約4倍の4兆8161億円に拡大すると、同調査では予想している。
調査では、2014年1月~12月のAPACのスマートフォン広告出稿額を推計し市場規模予測を算出。なお、APAC13カ国・地域は、日本/中国/韓国/台湾/香港/シンガポール/タイ/インドネシア/マレーシア/ベトナム/フィリピン/インド/オーストラリアとなっている。