東京商工リサーチは7月8日、2015年上半期の「希望・早期退職者募集状況」調査の結果を発表した。同調査は、2015年1月以降、希望・早期退職者募集の実施を情報開示、具体的な内容を確認できた上場企業を抽出したもの。
同社によると、アベノミクス効果による円安の進行に伴い、輸出企業を中心に企業業績が改善し、希望・早期退職募集などの人員削減に動いた上場企業は調査を開始した2000年以降で最少ペースで推移しているという。
同期に希望・早期退職者の募集実施を公表した上場企業数は、前年同期比3件減の18社となった。募集人数はシャープの大規模な募集が影響して6598人(同3395人)に上っている。
募集または応募人数の最多は、シャープ(グループ会社を含む)の募集3500人だった。これに、横河電機(グループ会社を含む)の応募1105人、サニックスの募集600人、電通の募集300人、タカギセイコーの募集230人、丸順の募集200人と続く。募集または応募人数が100人以上は9社(前年同期9社)だった。
同社は、人員削減の動きは沈静化しているとしながらも、工業計器最大手の横河電機が主力の石油化学プラント向け機器の国内市場縮小をにらんで希望退職者募集を行ったように、業績が好調な上場企業でも事業の市場縮小やグローバルな競争に適応するため、事業規模の適正化や経営資源の効率化の一環として人員削減に踏み切る企業が出てくる可能性が高いとコメントしている。