日本の絵文字文化は、"emoji"として海外でも一般的になってきた。例えば、顧客とのコミュニケーションやマーケティングで絵文字を活用する動きも出てきている。The Next Webが「絵文字の心理学(原題:The psychology of emojis)」として、絵文字の効果と活用をまとめている。
絵文字は脳に働きかける
対面のコミュニケーションとデジタルの文字ベースでのコミュニケーションの違いは、相手の表情が見えないことだ。私たちが対面でコミュニケーションを交わす場合、相手の表情を見て反応を起こすわけだ。相手が笑えば笑うし、怪訝な顔つきをすると「どうしたの?」と聞く。
だが、オンラインではこのように共感を示して関係を構築する「感情の伝染」ができない。そこで絵文字の登場となる。
皮肉にとれる表現や、冗談か本気かわからないような誤解を招きやすい表現をする時、私たちは絵文字で真意を表すことがある。
つまり、文章の補完としての絵文字だ。だが、受け取り手は書き手の意味が理解できるだけでなく、文章の中や末尾にある絵文字を見ると、対面と同じような反応を脳が示すことが科学的に証明されているという。画面の絵文字を見て、実際の表情が変わることもあるのだとか。
そういえば、面白いメッセージに一人にやけてしまったことはないだろうか? このような反応は、私たちの脳にもともと備わっていたわけではなく、ソーシャルメディア文化により作り出された新しい脳の反応パターンだという。
このような効果から、絵文字は文字のコミュニケーションではなく「感情のコミュニケーション」であり、メッセージをより明確にするために重要な役割を果たしていることになる。
それだけでなく、われわれのオンラインボキャブラリーにも影響が出ているようだ。絵文字の浸透に合わせて、インターネットのスラングは少なくなっているとのこと。2013年には30%以上もあったネットスラングが、半減しているというデータもあるようだ。
では、今、どのような絵文字がよく使われているのだろうか? Instagramで最もよく使われていた絵文字は赤いハートで、続けて「目がハートになったスマイリー」「ウインクとキスをしたスマイリー」「シンプルなスマイリー」「泣き笑い」などが使われているという。
Instagramで絵文字の利用が多い国は、フィンランド(67%が利用)、フランス(50%)、イギリス(49%)がトップ3。日本は8位で37%となっている。
絵文字マーケティング
このように文化に浸透する絵文字を、企業が利用しない手はない。例えばGMは、絵文字のプレスリリースを出したことがある。記事ではマーケティングでの利用として、自社の製品を絵文字にしたIKEA、読者がツイートなどで使うことができるように2016年の大統領選挙の候補者の絵文字を作成したCNNなどを挙げている。
マーケティングに利用する場合、自分たちの顧客やユーザーが絵文字を使っているのか、絵文字が自分たちがソーシャルメディアで展開するマーケティング文句や自社イメージに合うかどうかを考えるべきだという。
場合によっては、絵文字がマイナスになることもあるという認識は、頭のどこかに置いておこう。