ネットアップは6月30日、2016年度の事業戦略発表会を開催した。
同社は5月1日から新年度がスタートしたが、同社の業績について同社代表取締役社長 岩上純一氏は、「ドルベースで14.5%伸びており、勢いが強いのが今のネットアップの環境だ。国内の売り上げはこの3年で2.1倍になり、オフィススペースは1.7倍となり順調に伸びている」と好調さをアピールした。
同氏は、今後のストレージの市場について「現在は『Cloud Enable』(現在あるシステムをクラウドに移行する)から『Cloud Native』(最初からクラウドで利用することを想定したシステム)へという流れがあるが、クラウドはもはや使うのが前提だ。ただ、クラウドに移行するには、オンプレミス環境を可視化することが前提となるため、大手の製造業も必至になって次世代エンタープライズアーキテクチャーで作っている。それに対してネットがアップが何ができるかといえば、Software Definedですべて製品が作られている会社なので、Software Defined Infrastructure(SDI)やSoftware Defined DataCenter(SDDC)といったSoftware Definedされたインフラの上にネットワーク、サーバ、ストレージを置きたいと思っている。そういったインフラをどうやってオーケストレーションするかが課題で、それに対してストレージベンダーがどうかかわっていくかだ。その答えはまだ見つけていないが、すでに製品はあるので、そういった環境を構築しておくことが重要だ」と、次世代のエンタープライズインフラは、Software Definedで構築すべきで、ネットアップの製品がすでに、Software Definedインフラに対応済みであることを強調した。
ただ、今後、同社がストレージ販売に注力することはしないという。
その理由を岩上氏は、「米国ではすでに出荷の6割がホワイトボックスで、そこと戦うのはネットアップのコアビジネスではない。これらは価格は安いが管理できない製品だ。われわれはそこに対してインテリジェンスな製品を提供している。すべてをお客様の管理化に置くということが重要だ。そして今後はソフトウェア、ソリューション、アプライアンスをしっかりやっていく」と、今後はストレージの管理に主軸を置くとした。
同氏は国内戦略のビジョンを、「これまでと変わりがないが」と前置きした上で、「常に革新的かつ実効性の高い技術をもって、お客様の成功を支えるTrusted Advisorになる」とし、同社が目指す方向性については、「われわれの製品がお客様の業務の中で、どれだけ事業貢献できるかだ。それがわれわれの使命でありミッションだ。ネットアップはTrusted Advisorとして、インフラ構築のオールラウンダーを目指しており、データマネージといえば、ネットアップという環境を作っていきたい」と語った。
同氏はそのための戦略を、「もしかすると、われわれは5年後にはディスクを売っていないかもしれない。その分野に特化したソフトやソリューションを提供し、日本からイノベーションを起こすような会社になっているかもしれない。お客様のデータ管理を解決するには、お客様の業務を理解できる人間をどれだけ増やすかで、そのための人員を増強している。そういう意味で、コアベンダーとしてお客様の業務に参加していきたい」語り、具体的に、ハイブリッドクラウド推進部隊として13名、データアーキテクト6名、営業SE20%をぞれぞれ増員、オフィスも1.7倍に増床し、Customer Briefing Centerの開設、検証センターの増設、常設トレーニングセンターの設置を行ったという。
では、何を差別化ポイントとして事業を展開するのか?
これについて岩上氏は、「われわれの国内のシェアは10%程度で、それを踏まえた上でのわれわれ価値は、ネットアップの単一のアーキテクチャによってお客様にバリュー提供できる点だ。ネットアップのONTAPというデータマネージメントを提供することで、お客様の環境を軽く、早く、安く、高品質にできる。SDS(Software Defined Storage)をすべて兼ね備えているのがONTAPだ」と述べた。