企業の現場にコンピューターが入り込んでから既に数十年。現在、基幹システムの存在は水や電気などと同じように、あって当然のものとなりつつある。だが、どんなに使い慣れた基幹システムであっても、ビジネス環境や社会情勢の変化に合わせて、古いものから新しいものへと変更しなければならない時がある。そしてその際、最も高い壁となるものが決裁権を持つ「経営者への説明」だろう。

NTTデータセキスイシステムズ 主席コンサルタント宮下淳氏

「どうすれば経営者を説得できるのか?」「そのために必要な提案書はどう作ればいいのか?」「そもそも、何から手をつければいいのか?」

そんな情報システム担当の悩みを解決するためのセミナーが行われている。それが株式会社NTTデータセキスイシステムズが主催する「超上流 IT構想書作成90分特別講座」だ。本記事では、同講座の講師であるNTTデータセキスイシステムズ 主席コンサルタントである宮下淳氏に、情報システム担当にとって有用になる講座内容の部分を本誌のために解説いただいた。

「お客様からの真剣な悩み相談」から生まれた講座

日進月歩で進むITの世界。その中でビジネスを成功させるためには、基幹システムの変更が必要な場合もある。とは言え、企業にとって活動の基盤とも言えるシステムを、そう頻繁に変えるわけにはいかない。

「私たちはこれまで、主に卸業の方々に向けたサービスを提供してきました。この分野では多くの場合、十数年に一度程度の頻度でしか基幹システムの刷新は行われません。情報システム部の方々も、ほとんどが未知の経験であるため、そもそも何から手をつけていいか分からない、ということが多いのです」(宮下氏)

宮下氏によると、このような状況でもっとも多く取られる施策が「従業員に向けたアンケートの実施」とのことである。

アンケートを実施し、現行システムに対する問題点や課題、そして現場からの要望を募り、それをまとめて経営者に提出する。だが、「現場の要望を達成するための提案では、経営者を説得することは難しいでしょう」と宮下氏は語る。

経営者を説得するためには、単なる改善策だけではなく、将来の成長につながる”何か”が必要となる。だが、この”何か”を見つけることが非常に難しい。そもそも、どうやって見つければいいか、その手段がわからない。そのような悩み相談が宮下氏のもとには数多く寄せられたとのことだ。

「実は以前、同様の悩みをお持ちになっていたお客様に対して、我々が利用しているフレームワークのプロセスを用いてシステム構想を作成して、非常に喜ばれたことがありました。もしかすると、他のお客様に対してもその手法は有効なのではないか、そう考え、まずは一度、講座という形で試してみようという運びになったのです」(宮下氏)

想定外の人気につき規模の拡大を検討中

物は試しとして始まった宮下氏による「IT構想書作成講座」。「元々、少人数でこじんまりとやるつもりだった」(宮下氏)こともあり、告知も NTTデータセキスイシステムズが所有している卸業者のメーリングリストで案内をした程度だったのだという。

「そもそも、基幹システムの入れ替えなんて、そう頻繁に起きるものではありません。ですから、集まってもせいぜい2~3人程度だろうと気軽に考えていたんですよ(笑)」(宮下氏)

ところが実際に開催してみると、参加者は常に5人以上、多い時は10人を超えていく。結果、2014年中に12回開催で、参加者数はのべ76名にのぼったとのことである。

「講座終了後にアンケートをするのですが、毎回コメント欄が、ご要望やご質問でいっぱいになるんです。これだけ望まれているのなら、ということで、今年はもう少し規模を拡大して開催する予定です」(宮下氏)

現在では、月一回程度のペースで開催されている同講座。規模を拡大し定員数を大幅に増やしたにも関わらず、常に満員でキャンセル待ちが出る状況だ。

NTTデータセキスイシステムズの豊富なノウハウを詰め込んだ超上流コンサルサービス

講座にて紹介されているフレームワークは、実際にNTTデータセキスイシステムズが提供している「超上流コンサルサービス」にて用いられている。なお、この「超上流コンサルサービス」にはL、S、 Hの3プランがある。Lプランの場合、経営トップ、事業部長などから3回のヒアリングを行い、1.5カ月という短期間でIT想定書をまとめ、提出することになっている。

「ヒアリングをした内容を、5つの視点 からロジックを積み上げ、必要な何かを落とし込んでいきます。私たちは主に卸業の方々を中心にサービスを提供していますが、このプロセスは汎用性も高く、ほとんどの業種で利用可能なものだと考えています」(宮下氏)

NTTデータセキスイシステムズのノウハウが詰め込まれた「超上流コンサルサービス」におけるフレームワーク。次回は、その肝となる「5つの視点」について解説しよう。

超上流サービスの根幹をなす「超上流フレームワーク」の大枠

取材協力 株式会社NTTデータセキスイシステムズ

積水化学工業の情報システム部が分離独立し、1987年に設立したセキスイ・システム・センターがNTTデータと資本・技術提携を行い、2005年に社名変更。2006年に株式会社アイザックが合併し、ITに関する各種コンサルティングやSI事業を行う。また、独自のサービスとしてクラウド型基幹業務システム「SKit FLEXi」も提供している。コンサルティングサービス「IT想定書作成講座」も展開している。