ベルギーの独立系エレクトロニクス研究機関imecは、米国ニューヨーク州ニューヨーク市で6月18日(米国時間)に開催された「グリーンタッチ(Green Touch:ネットワークのエネルギー効率を2015年までに2010年時点の1000倍に引き上げることを目的に設立された国際的なコンソーシアム活動)」の最終成果報告イベントで、現在および将来(2020年まで)の携帯電話基地局の消費電力をきちんと予測できるパワーモデルを発表した。
このモデルは、広い範囲のオペレ―ション条件および基地局のタイプや今後のハードウェアの進歩(2020年までに出現することが確実な材料やデバイスや技術)にも対応している。このモデルは、ネットワーク・プロバイダーや研究団体が無償でWeb上で利用できる。
モバイル・ネットワークの電力消費は非常に大きく、経済上からも県境保全上からも問題である。このため、この課題に取り組むため、Green Touchが2010年に設立された。
imecは設立メンバーとして当初から加わり、携帯電話基地局の消費電力に関する研究を続けてきた。基地局は、現在、モバイルネットワークの消費電力の8割以上を消費している。この割合は、今後、データトラフィック量が増加するにつれ、また、5Gに向けた新たなサービスが始まるにつれ、さらにはIoTに関連するさまざまなサービスがひろまるにつれ、単純に増加する一方であろう。したがって、基地局の今後の消費電力をできるだけ正確に見積もることは、将来の消費電力削減策を考案する上からも重要である。
imecが提供するパワーモデルを使えば、現在および将来の携帯電話基地局の消費電力を定量的に予測できる。そのアルゴリズム・ツールは、もっと消費電力の少ない基地局の開発やもっとエネルギー効率の良いネットワークの実現をサポートする。
imecのグリーンタッチ・プロジェクト・コーディネーター、Bjorn Debaillie氏は「このパワーモデルはimecのWebサイトにアクセスすれば、世界中でだれでも無料で使える。これにより基地局や部品の製造業者は明確な設計指針を得られるだろう。ネットワーク・プロバイダは今後のネットワーク開発や運用の戦略立案に使え、研究者は基地局の電力消費の共通リファレンスを得られるだろう。IoT時代の次世代ネットワーク上のワイヤレス・システムやモバイルシステムのための革新技術や回路、部品に興味のある企業は、ぜひともimecと協業しましょう」と語った。