Nimble Storage Japanは6月19日、同社のハイブリッド型ストレージシステム「Nimble Storage」の運用・管理を支援するクラウド型モニタリング&データ分析サービス「Nimble Storage InfoSight(インフォサイト)」の最新版を発表した。

米Nimble Storageは、2008年にシリコンバレーで設立された新興のストレージベンダー。2010年の8月から実際の製品出荷を開始し、現在は従業員数が900名以上、5500以上の顧客を持つなど急成長している。

Nimble Storage Japan シニアセールスエンジニア 川端真氏

同社ストレージの特徴について、Nimble Storage Japan シニアセールスエンジニア 川端真氏は、「われわれの製品はCASL(キャスル)というファイルシステムが売りで、SSDとHDDの両方を使うことが特徴だ。他社の階層化とはまったく異なり、HDD、SSD、それぞれの利点を引き出すにようなハイブリッドシステムとなっている。まず、サーバからのデータをインライン圧縮し、ひとまとめにして、HDDにシーケンシャルで書き込んでいる。シーケンシャルI/Oであれば、HDDのほうがフラッッシュよりも3倍程度速い。そして、ランダムI/OだけをSSDに書き込んでいる。これにより、寿命のあるSSDを劣化させずに済む。SSDはキャッシュとして使っている」と説明した。

CASLアーキテクチャ

米Nimble Storage アジア太平洋担当 Vice President Peter O'Connor氏

同社の製品は、CS210~CS700まであるが、これら製品の違いについて、米Nimble Storage アジア太平洋担当 Vice President Peter O'Connor(ピーター・オコナー)氏は、「各製品の違いはコントラーラに搭載されているコア数が違うだけだ。今後、年末に向けて、よりコア数を多い製品もリリースする予定だ。ストレージの拡張も簡単でコントローラを置き換えるたけでパフォーマンスを改善できる。容量もノードを追加するだけで増やすことができ、これらはシステムを停止することなく行える」と語った。

製品ポートフォリオ

今回新版の提供を開始する「InfoSight」が、同社のもう1つの大きな特徴だと川端氏は説明する。

「InfoSight」は、全世界のユーザーに導入された「Nimble Storage」のログや構成情報を5分間隔で監視し、1日あたり3,000万件のデータを集めているという。そして、収集したデータを同社独自のエンジンで解析する。この目的は2つあり、1つはNimble自身が製品の不具合などを把握し、トラブルの傾向を掴み、製品の改善に活かすほか、問題発生の予兆が検知された場合にアラートを通知してシステムの安定稼働を支援する。

そしてもう1つは、ユーザーによる稼動状況のモニタリングだ。今後は、情報に基づき制御可能なQoS機能も実装していく予定だという。

「InfoSight」の概要

「われわれのような振興ベンダーが市場をとるためには安定稼動にフォーカスする必要がある。InfoSightはそのためのツールとなる」(川端氏)

今回発表した最新版では、VMwareによる仮想化環境において、仮想マシン(VM)単位のモニタリングを可能にする「InfoSight VMSight」を追加した。同社の9割のユーザーがVMwareを利用するという。

InfoSight VMSightはエージェントソフトなどは不要で、VMware ESXやVMレベルの情報を収集。VMware ESXホストのCPU 使用率、メモリ使用率、IO数や遅延の高いVM、ホストが接続しているデータストアのパフォーマンス情報などの一覧表示が行える。

「InfoSight VMSight」

Nimble Storage Japan リージョナルディレクター 西岡正氏

日本法人の活動は2013年12月から開始しているが、今後の国内のビジネスについてNimble Storage Japan リージョナルディレクター 西岡正氏は、「すでに50社に販売しており、販売体制はできた。マーケティングには自信がないが、技術には自信があるので、ユーザーコミュニティを充実させれば、ビジネスは口コミで広がっていくと思っている。今後2年間で200社の顧客を獲得したい。そうすればアーリーアダプタを獲得でき、マジョリティの世界に行けるのはないかと思っている」と語った。