日本IBMは、同社の垂直統合型システム「IBM PureApplication System」で提供していたPureApplicationのワークロードとライフサイクル管理機能を、自社のVMwareが稼働するサーバ上でも動作させることを可能にするソフトウェア「IBM PureApplication Software V2.1」の提供を開始した。価格はPVUあたり、44,300円(税別)
PVU(プロセッサーValue Unit)は、プロセッサーのコアに基づく課金。PVU値は、プロセッサー、テクノロジー、ベンダー、 タイプ等により、あらかじめテーブルで定義されている。
また、IBM PureApplicationは、同社が提供するクラウドサービスSoftLayerでも動作可能だが、今回新たにMicrosoft Azureもサポートする。
IBM PureApplication Softwareの標準構成。IBM PureApplication Software自身が動作するデプロイ・エンジンのサーバとテプロイ先のターゲットの両方をVMware上で動作させる方法と、ターゲットだけをVMware上で動作させる方法がある |
IBM PureApplication Systemは、2012年4月から提供する垂直統合型のプライベートPaaS基盤で、パターン・デプロイメント技術を用いて、世の中のさまざまなパッケージシステムに対応したパターンを用いることで、システム環境構築の標準化・自動化を行えるようにしている。2014年6月には、PureApplication Systemの技術をクラウドであるSoftLayer上で利用できる「IBM PureApplication Service on SoftLayer」を発表し、パターンによるハイブリッド・クラウド環境の提供を開始した。
今回、「IBM PureApplication Software V2.1」を提供することで、動作環境を自社保有の既存の仮想化システム上にも拡大。また、DockerコンテナーやChefレシピなどのオープンソース技術を新たにサポートした。
パターンはシステム構築をパッケージ化し、迅速な展開を可能にするもの。すでに、220以上のパートナー提供のパターンが用意され、日本でも19社27ソリューションが提供されているという。パターンにより仮想システムの自動構築可能になるほか、一度パターンを完成させれば、オンプレミスからSoftLayer、あるいはAzureへの移行を短期間で実施できる。
日本IBM IBMシステムズ・ソフトウェア事業部 アプリケーションプラットフォーム・テクニカルセールス 部長 小島賢二氏は、「従来2カ月程度かかっていたシステム構築作業を、パターンを使うことで2日まで短縮できる」と語る。
また同氏は、「オンプレミスでもクラウドでも自動で構築でき、選択の自由が生まれる」と強調した。
日本IBM 執行役員 IBMシステムズ・ソフトウェア事業部長 渡辺公成氏は、「われわれは今、クラウド、モバイル、IoTなどによるデジタル革命の入り口にいる。この時代のエンタープライズシステムは、SoR(Systems of Record:企業の活動を記録する従来の基幹系のシステム)とSoE(Systems of Engagement:モバイルやソーシャルを活用するシステム)が有機的につながっていることが必要だ。そこで、IBMシステムズ・ソフトウェア事業部という組織を新たに作り、これら相反するシステム要件を一気通貫で支援できるようにした。 引き続き、この分野のマーケットリーダーを目指していく」と述べた。