ロームは6月16日、物流用途や医療用途のプリンタ向けに高画質かつ高速印字を実現する、新構造を採用したサーマルプリントヘッド技術を開発したと発表した。

ロームが開発した新構造を採用したサーマルプリントヘッド

医療用途のプリンタでは、リストバンドや医療容器ラベルのような微細領域に高精度の写真や微細な文字を印字するといった高解像度と印字品質が求められる一方で、インクを使わずに安全である、といったニーズが求められている。

従来、サーマルプリントヘッドは、高速に連続印字をする場合に完全に放熱しきれず蓄熱するため、発熱体の温度が徐々に上昇してしまうことで、発色にじみが発生し、印字品質が低下するといった問題があった。今回開発された新構造のサーマルプリントヘッドは、材料と構造の見直しを抜本的に実施し、独自の微細加工技術と組み合わせることで、医療分野で使用される小型ラベルなどで、従来では表現しきれなかった小さな文字をプリントすることを可能とする600dpiの解像度と300mm/秒の印字速度を実現した。

300mm/秒で印字した結果の例

独自の微細加工技術を施すことで、ヘッドの性能を改善。これにより発熱を抑制することを可能とした

また、高熱伝導材料と新構造を組み合わせることで、高速印字の際に問題となっていた放熱性を従来品比の数倍に高めることに成功。高速連続印字時でも発熱体部の温度を安定させることができるため、高速でも印字品質を損なわず鮮明な印字を実現したという。

なお、同社では今後、同技術を用いた製品の2015年中の量産化とともに、高画質と印字速度を活かしたラインアップの拡充を目指すとしている。