カスペルスキーは6月12日、Appleの最高経営責任者 ティム・クック氏が、ワシントンDCで開催されたEPICの「Champions of Freedom」イベントで、プライバシーとセキュリティについて講演した内容を同社のブログ「Kaspersky Daily」で解説している。
クック氏は講演にて、個人のプライバシーが様々な面で危険にさらされていると述べた上で、多くの企業が個人情報の安全性を謳い、利用者を欺いていることに警鐘を鳴らした。同時に、Appleは利用者の情報を収集し、利益を得る企業とは相容れないことも強調した。
昨今では、個人の健康、財産、家庭に関するデータがデバイスに保存されている。一見無料でありつつも実際にはコストが伴うサービスのために「利用者が個人情報を提供することはあってはならない」とクック氏は主張する。
Appleは利用者が自分自身の情報を管理できるべきだと考えている。
無料サービスを好んで利用する人がいる一方で、自分のメール、検索履歴、さらに今では家族写真のデータが、広告目的で利用・販売されている点にも注意を呼びかけた。
クック氏は、このような「無料サービス」には個人情報を提供するだけの価値はなく、利用者はサービスの実態に気づくべきだと警告した。
無料サービスの利用者に警告する一方で、クック氏は、個人の自由を脅かす攻撃は他にもあると述べた。
例えば、一部の政府関係者は一般市民が自分のデータを暗号化できないよう画策しているが、そうした動きも攻撃の1つだと主張する。もし、一部の政府関係者が望むように、Apple製品から暗号化機能を完全に取り去れば、Apple製品を使って個人データを守っている一般人に害が及ぶからだ。
「警官のために、鍵をマットの下に隠しておくと、鍵は泥棒にも見つかってしまうだろう」という例え話を使い、犯罪者にとって暗号ツールは入手可能なもので、簡単に使用できるという点も強調した。
Appleはセキュリティのためにプライバシーを犠牲にするという考えに反対している。セキュリティ対策とプライバシー保護の両立は可能と考えるからだ。クック氏は、「企業はプライバシーとセキュリティとの妥協点を利用者に求めていけない。誰かのデータを守ることは、私たちすべてを守ることにつながる」と講演を締めくくった。