F5ネットワークスジャパンは6月10日、5月1日付けで代表取締役社長に就任した古舘正清氏による、同社の今後の戦略についての説明会を開催した。
同氏は、F5ネットワークスジャパンに入社した理由を、「インフラはコモディティ化が進んでいるが、Software-Defined-Datacenterでは、アプリ視点での差別化ができなくなってきている。F5はSoftware Defined Application Servicesというコンセプトを掲げており、これに非常に感銘を受けた。このコンセプトは、アプリケーション起点でインフラをデザインしていくものだ。私は、次世代はアプリケーション視点でインフラを作るべきだと思っており、L4-L7が最も重要なインフラだ。アプリケーション視点のインフラ作りを日本でやっていきたい」と説明した。
同氏はF5ネットワークスの現状のビジネスについて、「グローバルでは、毎年平均17%成長しており、非常に順調だ。F5といえばADCだが、シェアが50%以上あり成功している。そのほかにも、セキュリティビジネス、ソフトウェアビジネスも急成長しており、AS a Service事業(クラウドサービス)も拡大している」と、好調な業績を強調した。
一方で同氏は、F5ネットワークスジャパンのビジネス状況を、「日本は3-5年ビジネス展開が遅れている。ADC、WAF、SSL-VPNではポジションは良いが、成長の余地も多い」と、成長途上であると指摘。今後は、同社のアプライアンス用OSである「BIG-IP」上に、ソフトウェアを追加することによりセキュリティ機能などを追加していく「統合プラットフォーム化」を推進していくとした。
その背景を同氏は、「IT環境にはいろいろなアプライアンスが導入されており、運用が複雑になり、アプリの変化への対応が困難で、セキュリティリスクが増大しているという課題がある。弊社のBIG-IP基盤であれば、ソフトウェアをオンするだけで機能を追加できる。ハイブリッドのオーケストレーションで自動化できるかが今後の大きな差別化になる。これにより、ユーザーはインフラ競争力アップにつなげることができる」と説明した。
その上で、F5ネットワークスジャパンの5年後の目標として、「ADCで50%以上のシェア」、「AS a Serviceの事業比率を15%以上」、「セキュリティ売上を5倍に」の3つを掲げた。
同氏はとくにセキュリティ分野の強化を強調し、「ユーザーにセキュリティカンパニーの認識をもってもらいたい」と語った。
これら3つの目標に対して同氏は「4つの柱で実行していく」とし、「ソリューションモデル」、「パートナー・エコシステム」、「新事業領域の立ち上げ」、「日本品質をF5のグローバル標準に」という4つの成長戦略を掲げた。
ソリューションモデルでは、同社独自の「L4-7の成熟度モデル」を作成し、顧客の環境を分析、成熟度モデルへのマッピングを行い、その後プランニングして顧客に問題提起していく。これは、無償のアセスメントサービスとして提供し、古舘氏は2,000社程度に提供したいとした。
パートナーのエコシステムでは、問題提起したインフラを実際にインテグレーションしてもらえるよう、大手のパートナーと新たなエコシステムを構築。新事業領域の立ち上げでは、アプライアンス提供だけでなく、SaaSとして提供する「AS a Service事業」を立ち上げ、同社自身が提供するクラウドサービス「Silverline」を推進していくという。
そして日本品質では、品質管理担当役員(CQO)を新たに設置し、品質向上チーム体制を構築するという。同氏は、「日本品質であれば、必ず世界でも勝てる」と述べた。
そして、セキュリティとAS a Service事業で成長させ、2019年までに売上を倍増させるとした。