IDC Japanは6月10日、国内IoT(Internet of Things)市場のグローバル主要事業者分析結果を発表した。
今回の調査では国内IoT市場において製品/サービスを提供する外資系事業者にフォーカスした上で、その業績動向、ビジネス戦略、顧客動向、販売戦略、今後の展望などを中心に調査を行っている。また、調査をもとに、外資系事業者のIoTに対する取組みについて、特に日系事業者との比較の観点からその類似性と相違性を分析。なお。IDCではIoTを「IP接続による通信を、人の介在なしにローカルまたはグローバルに行うことができる識別可能なエッジデバイス(モノ)からなるネットワークのネットワーク」と定義している。
国内IoT市場が継続的に成長する中、同市場を形成する外資系事業者は「導入産業分野の拡大」「導入目的/導入用途の拡大」「導入機器/導入地域の拡大」という3つの方向性に向かっており、日系事業者との比較の観点からも類似した傾向にあるとIDCではみている。
その背景として製造業や運輸業といった長年にわたってIoTを利用してきている市場がある程度一巡してきていることや、分析技術の高度化に伴ってこれまでは実現が難しかった用途にも採用が広がっていること、そしてデバイス技術の標準化推進やセキュリティ強化に加えグローバルなIoTプラットフォームが増加していることなどが挙げられる。
国内IoT市場の将来展望として、各事業者のエコシステムにおいては、長年にわたってIoTを利用してきている産業分野の市場が一巡することにより、これまでIoTの活用に対してあまり積極的でなかったロングテールの産業分野における競争が加速すると見込まれ、ビジネスモデルの創造力やその実行力が勝負の鍵を握る大きなポイントとなると考えられる。
加えてデバイス/コネクティビティに関わるセキュリティへの懸念も徐々に高まるとIDCではみている。この中で特に外資系事業者は、ビジネスモデルの構築の巧みさ、新しい技術に対する先見性と、その実用化のスピード感、スケールメリットやオープン性を生かしたアプローチ、セキュリティに対する理解と経験の深さなどの面で市場をリードしていくものと見込まれる。
IDC Japanコミュニケーションズ マーケットアナリストの鳥巣悠太氏は「国内IoT市場において、外資系事業者がビジネスを展開していく上では、スケーラビリティとローカリゼーションのバランスを加味したビジネス開発や、IoT向けセキュリティの事前組み込みと啓蒙の強化が重要になる。また日系事業者がビジネスを展開していく上では『地の利』を生かしたエコシステム形成や、『Fail Fast』の精神を基軸にビジネスモデルの明確化を進めていくことが肝要になる」と述べている。