ビッグデータ基盤としてクラウド型データマネージメントサービスを提供しているトレジャーデータは6月4日、同社の事業戦略説明会を開催した。
同社のサービスの特徴は、データの収集、保存、分析をワンストップで提供しており、クラウドサービスのため、導入期間が短く、初期費用がかからないため、小さく始められ、大規模なシステムもすばやく開始できる点。
米トレジャーデータ CEO 芳川裕誠氏は、ここ1年の実績として、「ヤフー、パイオニア、電通、博報堂との提携が非常に大きい。また、資金調達ができ、成長の準備ができた。お客様が保存されているデータサイズは1年前の6兆から18兆と3倍になり、トレジャーデータを信頼していただいている」と説明。
そして、今後の日本の事業については「デジタルマーケティング、IoTにフォーカスしていく。これらの分野は、IT部門ではなく、ユーザー部門と直接取引できていることが大きい。こういった人たちは、自分たちがデータをどう使い、どう活かしていくかを深く考えており、業績を伸ばす基盤としてトレジャーデータを使っていただいている。こういう人にどのように使ってもらえるかが成長の鍵になる。そのための製品開発を続けていきたい」と述べた。
また、グローバルでの事業については、日本以外の顧客が増えており、新たにアジアパシフィフィック担当を設置し、ソウルに新たに支社を作ったという。
その上で同氏は、「今後は上場を目指して、成長を続けていく。そのために新たなCFOとしてDan Weirichを迎えた。これにより、会社が成長モードになってきた。案件も、大企業などが増え、大型化している。グローバル企業は、その分野での知見をもっているが、それほど大きなビッグデータ基盤を持っていない。しかし、市場では巨大インターネット企業と勝負していかなければならない。そのときに、トレジャーデータを活用していただければ、お客様はデータ分析だけに注力できる。それにより、巨大企業に対抗できる基盤を担保できる。そのお手伝いを今後もやっていきたい」と述べた。
巨大企業に対する優位性について同氏は、「データの入手先やプロセスがたびたび変わるような場合に、パイプラインでスキーマレスでできる点がトレジャーデータの大きな優位点だ。そのため、すぐに生データが貯められる。トレジャーデータはデータ収集のハブになりたいと思っている。それが差別化になる」と語った。
今後の技術戦略については米トレジャーデータ CTO 太田一樹氏が説明。同氏は、「企業では、IT技術者を確保できない、プロジェクトに時間がかかる、初期投資がかかるという課題抱えている。それを解決するためにトレジャーデータがある。ビッグデータにおいては、多くの企業がデータ収集に工数がとられている。そこを世界に通用するプロダクトによって変えていきたい。いろいろの所からデータを集め、3-5分で分析できる世界を築いていきたい」と抱負を述べた。
また、同社の日本法人の社長である三橋秀行氏は国内のIoT向分野の戦略について、「IoTがどういう分野で役立つかを市場に還元し、IoTを有効活用していけるようにしていきたい。分野としては、新たなマーケティング、Quality of Lifeの向上、製造現場の改善という3つの方向性がある。そのため、センサーの組み込みソフトを開発しているアットマークテクノと協業しており、実際の導入事例としては3Dプリンタの予防保守(故障の事前察知)、風力発電タービンの予防保全(遠隔地のモニタリング)がすでにある。今後は、新しい事例を出して、マーケットを拡大していきたい」と語った。
そのほか、カスタマーサポート部門でのアクセス強化に向けた支援を強化していくという。具体的には、導入支援、活用支援、コミュニティ支援を行っていくという。