日本マイクロソフトは6月4日、芝浦工業大学による「Microsoft Dynamics CRM」の導入事例を公開した。
芝浦工業大学では、「10年後20年後も輝き続ける大学」を目指した「チャレンジ SIT90」作戦の一環として、学内の複数システムに散在していた各種データの集約が行っている。しかし、大学内にはさまざまなシステムが点在しており、データがシステムごとに分断されていることが課題となっていた。これまでは、必要な情報を入手するには各システムにログインして、手作業でデータをまとめていく必要があった。
大学では、既存システムに影響を与えることなくデータを集約できること、エンド ユーザーによるカスタマイズが容易であることなどを含めてMicrosoft Dynamics CRMの導入を決めた。
導入後は、10種類の部門システムからデータを抽出して集約を図った。収集対象のデータは、各学生の基礎情報、入試時の点数、成績情報、卒業後の就職先、課外活動、ボランティア、アルバイトなどが含まれる。データ数は1学生あたり数千カラムで、現時点で約1万名分。将来的にはは、卒業生の情報を網羅していくことも検討しており、実現すれば10万人規模のデータベースになると想定している。
芝浦工業大学における学内情報集約の仕組み。学内のさまざまなシステムからデータをエクスポートし、スクリプトによって自動的に Microsoft Dynamics CRM へと集約、データ分析や PDCA サイクルの確立に活かされている |
また、中退者を防ぐための対策にも役立てている。不本意入学で中退するケースを早い段階で抽出し、学習面やメンタル面のサポートを行うというプロジェクトを立ち上げた。
学外への情報公開に関する業務も効率化された。以前は情報の取りまとめに約 2カ月かかったが、導入後は2週間にまで短縮した。次回からは、1日で完了できる見込となるという。
現在このシステムを扱えるユーザーは、15部門約50名に制限しているが、今後は教職員全員に開放する予定だ。今後は、経営層の判断材料として活用してもらうことも視野に入れているほか、集約された情報の中から学生にとって有益な情報を抽出し、各学生へ提供することも検討するという。