ヴイエムウェアは6月4日、ハイブリッド・クラウド・サービス「VMware vCloud Air」の日本のデータセンターから新たに提供される新サービスと機能強化に加え、新たな料金体系の追加を発表した。

これまで、同社は日本市場において、vCloud Airとして、専有型クラウドサービス「」と共有型クラウドサービス「」を提供してきた。今回、ネットワーク仮想化サービス「VMware vCloud Air Advanced Networking Services 」と従量課金型のクラウドサービス「VMware vCloud Air Virtual Private Cloud OnDemand」がラインアップに加わるとともに、災害復旧サービス「VMware vCloud Air Disaster Recovery」の機能が強化された。

vCloud Airの日本市場で提供されるサービス

ヴイエムウェア ハイブリッドクラウドサービス本部 本部長 巨勢泰宏氏

「Advanced Networking Services」は、同社のネットワーク仮想化プラットフォーム「VMware NSX」をvCloud Airに実装することで、VMware vCloud Air上から提供されるネットワーク機能を拡張するもの。パブリッククラウドの柔軟性と恩プレミスの管理性とセキュリティを実現する。同社の第3四半期に提供が開始される予定だ。

「Advanced Networking Services」により、ハイパーバイザー内で動作する仮想マシン(VM)単位のステートフルなファイアウォールにより、「ゼロトラスト セキュリティ モデル」に基づいたマイクロ セグメンテーションを導入できる。

そのほか、BGPとOSPFによるダイナミックルーティング、アプリケーション ルールに基づレイヤ7のロードバランシングが提供される。

さらに、ハイブリッドクラウドサービス本部 本部長の巨勢泰宏氏は、「Advanced Networking Services」の特徴として、オブジェクトベースでルールの設定が可能なことを挙げた。「オブジェクトベースのルール設定では、サーバをオブジェクトとして実装し、セキュリティポリシーの定義を指定していく。これにより、従来のネットワーク構成において必要だった『ネットワーク論理設計とマッピング』や『ネットワーク物理設計とマッピング』といった作業を省くことができ、これまで1カ月程度かかっていたセキュリティポリシーの実装を数分で行えるようになる」と、巨勢氏はオブジェクトベースのメリットを語った。

また、「VMware vCloud Air Disaster Recovery」では、「複数のリカバリポイント」「ネイティブ フェールバックへの対応」「セルフサービスによる自動化」といった機能が強化されたことで、より広範囲なワークロードに活用できるようになった。今年7月上旬に提供される予定。

従量課金型の「Virtual Private Cloud OnDemand」は、すでに米国や英国で提供されており、国内では7月上旬の提供が予定されている。オンライン上で登録でき、CPU、vRAM、ストレージの利用に対し、分単位で課金される。例えば、2vCPU/8GBを利用した場合、1時間当たりの料金は28円となる。仮想マシンのサイズはサービスを停止することなく、自由に変更できる。

巨勢氏は「サブスクリプションモデルの専有型と共有型は、スマートスタートやリソースの増減が多い用途に向いていない。従量課金型モデルは変動量の多いワークロードに、専有型と共有型は定常的に存在する一定のワークロードに使っていただきたい」と、専有型、共有型、従量課金型の使い分けについて説明した。

「VMware vCloud Air」のサービスの価格

ヴイエムウェア 代表取締役 会長 三木泰雄氏

代表取締役 会長の三木泰雄氏からは、国内におけるvCloud Airのビジネス状況について説明が行われた。

三木氏によると、昨年11月から国内での提供が始まったvCloud Airは、ソフトバンクとの合同事業を軸に、幅広い地域や業種で利用が広まるなど、好調なスタートを切ったという。また、検証開発環境や既存システムの移行先としてのニーズが高いとのことだ。

国内におけるvCloud Airの事業戦略の柱として「ハイブリッドクラウドの推進」「さまざまな業種業態、規模の顧客のニーズにこたえるサービス展開」「クラウド事業の販売拡大、協業ビジネスの促進」が紹介された。今回発表された新サービスや機能拡張もこれらの戦略の柱を推進するものとなる。「オンプレミスのvSphereユーザーに最適なクラウドのレファレンスアーキテクチャとしてvCloud Airを強化していくことで、ハイブリッドクラウドを推進していきたい」(三木氏)