ネットアップは5月28日、クラウドをバックアップ先とする新しいバックアップ向けストレージ ソリューション「NetApp AltaVault」を発表した。AltaVaultは、NetAppが買収したリバーベッドの製品「SteelStore」を、ハードウェアを刷新して販売するもので、6月1日より順次提供を開始する。

ネットアップ マーケティング本部 戦略企画推進室 室長 篠木隆一郎氏

ネットアップ マーケティング本部 戦略企画推進室 室長 篠木隆一郎氏は、IDC Japanの調査データを示しつつ、「日本市場におけるストレージ管理の課題では、バックアップの効率化が一番であり続けている。データ保存先は多様化しており、自社所有のストレージは6%の伸びにとどまっている一方、クラウドが伸びている。クラウドへのシフトが着実に起きている」と、NetApp AltaVaultソリューションが必要な背景を説明した。

NetApp AltaVaultは、顧客のデータセンターでの設置を想定した物理アプライアンスに加え、VMware ESXとMicrosoft Hyper-Vをベースとした仮想環境で動作する仮想アプライアンス、Amazon Web Services(AWS)とMicrosoft Azureのパブリッククラウド向けのクラウドアプライアンスの3種類がある。

物理アプライアンスは、NetApp AltaVault AVA400とAVA800の2モデルを提供。AVA400は48-288TBの容量に対応し、最小構成価格(48TB)は2,150万円(税別)。AVA800は、2015年第3四半期(7~9月)に提供開始予定で、容量や価格は未定だ。

VMware ESXとMicrosoft Hyper-V向けの仮想アプライアンスは、容量やパフォーマンスに応じて、NetApp AltaVault AVA-v8/AVA-v16/AVA-v32の3モデルを提供する。最小構成価格は480万円~(税別)

そして、AWSとMicrosoft Azure向けクラウド向けアプライアンスは、容量やパフォーマンスに応じて、NetApp AltaVault AVA-c4/AVA-c8/AVA-c16の3モデルを提供。AWSのアプライアンスは、AWS Marketplaceを通じてすでに提供を開始しており、Microsoft Azureのパブリック クラウド上で利用できるアプライアンスは、2015年後半にAzure Marketplaceを通じて提供開始予定。

NetApp AltaVault提供形態別のシステム構成

また、NetApp AltaVaultは、用途に応じてそれぞれ「バックアップモード」と「コールドストレージモード」を利用できる。「バックアップモード」は、ローカルサイトでバックアップサーバーから書き出されるバックアップデータをまず内蔵ディスクに保存し、その後、そのデータを順次クラウドに書き出します。また、内蔵ディスクのデータをキャッシュとして一定期間保管して常時読み出すことができ、そのキャッシュ領域として複数の拡張シェルフを接続できる。

「コールドストレージモード」は、バックアップサーバから書き出されたデータを順次クラウドに書き出して、AltaVaultには書き出されたデータのメタ情報だけを保存する。この機能により、AltaVault自体の容量は少なくて済むため、拡張シェルフの接続はできない。

2種類の保管モード

NetApp AltaVaultは、書き込む前に圧縮・重複排除、暗号化(AES256bit)行う。これにより、データを1/5から最大1/30に圧縮。バックアップ/リカバリ管理ソフトウェアであるNetApp SnapProtectやArcserve、CommVaultなど、ユーザーが現在使用しているバックアップ ソフトウェアを利用できる。

NetApp AltaVaultを利用したクラウドバックアップ構成

ネットアップ システム技術本部 シニアクラウドアーキテクト 杉本直之氏

ネットアップ システム技術本部 シニアクラウドアーキテクト 杉本直之氏は、「AltaVaultはDisk to Disk to Cloudというクラウド時代に即した新しいバックアップ方式を採用しており、NFS/CIFSのインタフェースで、NASに書き出すようにバックアップすればよい。主要なバックアップソフトに対応し、WebベースのGUIとCLIも提供する。これまでの環境を変えることなく、クラウドへのバックアップが可能になる」と特徴を説明した。