アシストは5月27日、Windows ServerのRemote Desktop Services(RDS)/ターミナル・サービス(TS)、VDIなどのクライアント仮想化サーバと、各クライアントを仲介するコネクションブローカーの新製品「Ericom Connect」を、日本語対応して8月3日から提供すると発表した(VDIは現状未対応。今後対応予定)。

「Ericom Connect」はイスラエルのEricom Softwareが開発した製品。すでに英語版は2カ月前にリリースされているが、アシストが日本語化して国内で発売する。

アシスト システムソフトウェア事業部 仮想化推進室 室長 高木季一氏

アシストは2012年6月からEricom製品のクライアント仮想化製品の販売を開始。これまで160社の顧客に導入しているという。

アシストがEricom社の製品を提供開始した背景について、システムソフトウェア事業部 仮想化推進室 室長 高木季一氏は、「弊社はCitrix社のプラチナパートナーとして、これまで仮想化製品を提供してきたが、仮想化は一部の大企業のものでなく、すべての企業が利用できるものだと感じている。既存の製品は価格が高く、システムが複雑になりがちだ。そこで、シンプルで運用しやすいものがないかと捜し出し、販売を開始したのがEricom社の製品だ。Ericom Connectはこれまでの常識を越えるスケーラビリティを持ち、本当の意味でマルチクラウド、マルチテナントを実現できる製品だ」 と説明した。

アシストのクライアント仮想化との関わり

Ericom製のコネクションブローカー製品としては、「PowerTerm WebConnect」があり、アシストもこれまでこの製品を提供してきた。「Ericom Connect」は、「PowerTerm WebConnect」の後継製品だ。

「PowerTerm WebConnect」では、Windows RDS/TS、VDI、物理・仮想マシン、App-Vへの接続の統合管理、クライアント側のコンピューター名やMACアドレスなどを組み合わせて接続制御、アプリケーションやVDIのプールごとに、プリンタ、シリアルポート、スマートカード、ディスクドライブなどの利用制御、スクリーンショットの取得制御、仮想デスクトップのクローン作成、プール作成・管理・監視、起動・停止、監査ログ管理、クラスタリング、フェイルオーバー機能による冗長化などを提供。「Ericom Connect」も「PowerTerm WebConnect」の基本機能を提供する。

「Ericom Connect」では、、セッション情報と構成情報を格納するデータベースとビジネスロジックのすべてをメモリ上に配置する、Ericom社独自の高速処理機構を備えたグリッドアーキテクチャを採用。これにより従来型製品と比べると、100倍の性能向上を達成し、1台のサーバで10万のアクセス要求を同時処理することができるという。

グリッドアーキテクチャ

また、複数の「Ericom Connect」サーバで1つのグリッドを構成することにより、さらなる処理性能向上、自動負荷分散、冗長性の確保が可能だという。

アシストでは、「Ericom Connect」により、スモールスタートが可能で、数万人規模に拡大してもシンプルなシステム構成と効率的な運用を実現すると説明する。

「Ericom Connect」の構成

また、ダッシュボードからシステムリソース、ユーザ、セッションの状況を俯瞰的に把握することができ、システムの利用データは一元的にSQL Serverに蓄積され、ビルトインレポートを使って確認できる。

価格は、現在最終的なつめ作業を行っており、8月3日までに発表するという。ライセンス料は多少上がる可能性があるが、サーバ数を減らすことにより、トータルコストは下がる場合もあるという。

ダッシュボード

同社では、7月8日に東京でて開催されるイベント「アシストフォーラム2015」のEricom社製品デモコーナーで「Ericom Connect」のデモンストレーションを行う予定だ。