2020年のオリンピック・パラリンピック開催を控えた東京都に、公共の場での受動喫煙を防止する法整備(条例化)を求めた緊急提言を、日本学術会議が20日、発表した。
提言は、喫煙だけでなく受動喫煙によって、がん、心臓疾患、呼吸器疾患などが引き起こされることは多くの報告から明らかで、建物内の喫煙を法律で禁じることによりそれらの疾患が減少したことも疑いない、と受動喫煙の害を強調している。
さらに、国際オリンピック委員会(IOC)と世界保健機関(WHO)が、健康的生活様式と、たばこのないオリンピックを目指す合意文書に2010年7月、調印した事実を挙げ、「オリンピック・パラリンピックの開催都市は、法律や条例で公共の建物内の喫煙を禁止することが近年、国際的に共通認識となっている」と都に速やかな法整備を求めている。
提言によると、都はオリンピック・パラリンピック開催が決まった後、公共の場での受動喫煙防止対策についての検討を始めた。都議会や関係業界などの反対が強く、条例化は困難ということで決着しそうになったが、3月30日の最終検討会議で逆の意見が相次ぎ、審議を継続することになった。
たばこの煙には 70種以上の発がん物質が含まれるといわれる。提言によると、分煙で喫煙区画を残した飲食店の従業員など、発がん物質にさらされる可能性のある職場で働いている人は、全国で数百万人に達するとの推定が、総務省の統計で示されている。また、受動喫煙による死亡推計では、死者は少なく見積もっても全国で年間 6,800人に上り、このうち半数が職場で受動喫煙にさらされたことによる、という研究報告もある。
関連記事 |