岡山大学(岡山大)は5月21日、片頭痛患者の心臓に開いている微小な穴「卵円孔」を塞ぐことで、頭痛を治療する治療法を6月より開始すると発表した。
卵円孔は胎児期に胎盤からの酸素を含んだ血液を右心房から左心房を経て全身へ導く機能を果たしており、出生後自然に閉鎖する。しかし、成人の15~25%では閉鎖せず、穴が開いたままになっている。
卵円孔と片頭痛の関連性はかねてより指摘されており、静脈内の特殊な物質が肺を通過せずに脳動脈に達することが原因の1つと考えられている。片頭痛を持つ患者はそうでない場合と比べて、脳梗塞を約2倍起こしやすいとされている。キラキラした光が見えるなどの前兆がある患者はそのリスクがさらに高いとされ、卵円孔が開いたままとなっている可能性がある。
岡山大が実施するのは、カテーテルを用いて卵円孔を閉鎖する治療法。自由診療として行われ、費用は約130万円となる。同大大学病院では、脳梗塞の再発防止を目的にカテーテル治療で心房中隔欠損症や卵円孔を治療した38人中19人が片頭痛を経験しており、そのうち13人がカテーテル治療後に片頭痛が消失し、5人が著しく改善したという。
同治療法はすべての人に効果を表すものではないが、従来の薬物治療とは別の新しい治療技術につながる可能性がある。