調査会社のIDC Japanが5月21日発表した調査結果によると、2014年の国内ビッグデータ・テクノロジー市場の規模は444億円で、前年比成長率は39.7%と拡大を継続しているという。

同社は同市場を、インフラストラクチャ/ソフトウェア/サービスの3つのセグメントに分類し、市場規模調査を行った。それによると、2014年の同市場規模は前年同期比39.7%増の444億700万円になったという。

ビッグデータ・テクノロジーに取り組む企業はテクノロジーに明るいSIやネット系企業などから一般企業に拡大しているとのこと。これは単純なユーザー層や個々の事例の規模の拡大だけでなく、プロプライエタリ・ソフトウェアやアウトソーシングの利用を促進し、今後も市場は高い成長が続くと期待される。

同社の予測によると、2019年の市場規模は1,469億400万円となり、2014年~2019年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は27.0%になるとのことだ。

国内ビッグデータ・テクノロジー/サービス市場の、2014年までの実績と2015年~2019年の予測

また同社は国内企業を対象に、ビッグデータ・テクノロジーへの取り組み状況について調査した。

2014年の前回調査と比較すると、ビッグデータ・テクノロジーについて「何らかの取り組みを行っている」とする企業が28.6%から32.0%と増加した一方で、「わからない」とする企業が31.6%から12.1%に大きく減少し、「当面取り組み予定が無い」とする企業が39.8%から55.9%へ増加した。この結果から、ビッグデータ・テクノロジーの取り組み意向がユーザー企業で二極化しているという。

同調査では予算や人材面などのリソース面の課題も明らかになっているとし、企業の中で自社のリソースなどを考慮して取り組みの姿勢を明らかにする企業が増加していると、同社は見ている。

国内企業を対象にしたビッグデータ・テクノロジーへの取り組み状況の調査結果

「国内ビッグデータ・テクノロジー/サービス市場は先行ユーザーの成功事例を受けたマーケット側の需要の盛り上がりと、2012年前後からの供給者サイドの積極的な投資により急速な成長を遂げている。一方で、中期的にアーリー・アダプターからマジョリティ層へ利用を拡大していくためには人材不足やセキュリティ、コストといった阻害要因を抱えている。ITベンダーやSI事業者はクラウドの活用やビジネスモデルの転換を通じて、ユーザー企業がビッグデータ・アナリティクスを積極的に利用できる環境を作ることが必要になる」と、同社ソフトウェア&セキュリティ マーケット・アナリストの草地慎太郎氏は分析している。