大手恊働ロボットメーカーUniversal Robotsは最高経営責任者であるエンリコ・クロー・イバーセン氏が来日し、同社の製品および事業戦略を説明した。
恊働ロボットとは、工場の製造ラインなどで、作業者と同じ空間で利用される作業ロボットのこと。Universal Robotsはこの分野でトップランナー的存在で、売り上げ・販売台数で競合他社を圧倒する実績を持つ。2005年の設立以来、順調に成長を遂げており、その成長速度に目を付けた大手計測器メーカーテラダインによる買収が5月18日に発表されたばかりだ。
同社のロボットの最も大きな特徴はプログラミングが容易であるという点だ。専用のタブレットからメニューを選んでいくことでプログラムを組み立てることが可能となっている。プログラミングの方法はもう1つ用意されており、そちらはさらに簡単だ。タブレットの裏にあるボタンを押すと、ロボットが学習モードに切り替わり、作業者が各関節を自由に動かして、どのように動いて欲しいかロボットに教えることができるのだ。これは、モーターやギアがどのように動いたかを記録し、それを再現しているのだという。「協働ロボットにとって重要なのは安全かつ簡単に使用できるということ。従来は安全性に重きが置かれてきたが、プログラミングが簡単であるということは同じくらい重要である。」(イバーセン氏)。
こうしたプログラミングの簡便さに加え、工場内で柔軟に再配置ができるよう工夫されていることや、わずか半日でセットアップが完了することも強みになっている。現在はサイズ違いで3種類の製品ラインアップを展開しているが、機能面を含めた製品ポートフォリオの拡大を視野に入れているという。
Universal Robotsは現在、デンマークの本社のほか、中国、スペイン、アメリカ、シンガポール、インドに拠点を構えており、今後北米や中国、ヨーロッパに新たな拠点を設ける予定だ。日本では代理店と協力してビジネスを展開しており、自動車・医療・食品などの業界で約100社が同社のロボットを導入しているという。イバーセン氏は「日本は世界で3番目の工業用ロボット市場となっており、当社にとっても重要な市場だ」と語った。