日本IBMは5月15日、2015年1月にIBMがAutomotive News World Congressで発表した「Automotive 2025 Global Study」について、日本での傾向を分析し、その結果を発表した。

「Automotive 2025 Global Study」はIBMが世界の自動車メーカー、サプライヤー、関連企業、政府、業界団体、学界を対象に調査したもので、世界21カ国・175名のエグゼクティブに対して対面インタビューで実施した。

今回の調査の主なポイントは以下の通り。

自動車業界に影響を与える外的要因

「2014年と2025年に業界に影響を与える最も重要な外的要因は何か」という質問に対し、「消費者の期待(2014年:53%、2025年:55%)」と「パーソナルモビリティ(2014年:12%、2025年:42%)」が与える影響が大きくなると、世界の自動車関連エグゼクティブは回答したが、日本の自動車関連のエグゼクティブは、2014年も2025年も「技術の進展(2014年:88%、2025年:85%)」が大きな影響を与えると回答し、技術開発に重きを置く日本企業の姿勢が現れた。

消費者との関わり方をどう捉えるか

どうやって購入するか、誰から購入するかという両方の点では、消費者の期待は小売りの崩壊を引き起こすが(日本:55%、世界:74%)、日本ではディーラーの役割が劇的に変わるという捉え方が世界に比べて少なかった(日本:39%、世界:74%)。これは、日本のエグゼクティブが消費者との関わり方をアフター・セールス中心と考えているのに対し、世界の自動車関連のエグゼクティブは製品やモビリティ・サービスの企画に活用しようと考えているためだと推察される。

自動化は部分的との意見が多数

「2025年までに、自動化されたクルマはどの程度主流となるか」という質問に対しは、日本および世界の自動車関連のエグゼクティブとも、「部分的な自動化」に高く回答し(日本:90%、世界:82%)、「完全な自動化」との回答は少なかった(日本:18%、世界:19%)。具体的には、シニア層などへの運転支援の観点で部分的な自動化が進むとみられているほか、クルマを所有しているか、利用しているかに関わらず、クルマを経由して消費者のデジタル情報の移動が可能になるとの考えは日本と世界で共通だった。

他業種との協業が成長のカギに

日本および世界の自動車関連のエグゼクティブは、2025年に向けて「他業界とのコラボレーション」が業界が成長する最も有効な機会だと回答している(日本:84%、世界:73%)。また、2025年には「今までと異なるプレイヤー」が自動車業界で重要な役割を担うと答えた(日本:62%、世界:75%)。

一方、世界の自動車関連のエグゼクティブの73%がモビリティ・サービスを「消費者との共創」の重要な領域であると回答したのに対し、日本では43%に留まった。これは、世界においても日本においても自動車関連のエグゼクティブは消費者を重視しているものの、日本では、消費者との関わりよりも、他業界との関わりをより重視している傾向があるためと考えられるという。