PEZY Computingは5月8日、磁界結合を用いた、高速・低消費電力を特徴とする近接チップ間無線通信技術(ThruChip Interface:TCI)を手掛ける米ThruChip Communicationsの全株主と、2015年6月末までに3分の2超となる支配株式の取得、ならびに残る株式を2016年2月までにすべて買い取り、完全子会社化する契約を締結したと発表した。
PEZYは、TCI技術を現在開発中の4096コアを搭載し、8.2TFLOPSの倍精度演算性能を目標に掲げる次世代MIMS型大規模メニーコアプロセッサ「PEZY-SC2」に適用する計画とするほか、半導体業界に広くライセンス提供を行っていく予定とする。
TCI技術は、慶應義塾大学理工学部の黒田忠広教授が確立した近接チップ間の無線通信手法で、既存の有線通信手法と比較して、低消費電力ながら高速通信が可能であること、電気的に非接触であるためにインピーダンス整合が不要であること、磁界結合のためのアンテナはウェハ内に前工程で作成可能で後工程作業が増えずに歩留まりにも影響が無いこと、すでに黒田研究室にて多数の実チップによる検証がなされていることなどの優位点があるという。
また、ThruChipのCEOでTransmetaの創業者CEOなどでも知られるDavid R. Ditzel氏がPEZYと8年間の技術顧問契約を締結しており、今後のTCI技術やプロセッサ技術分野の応用などを担っていく予定だとしている。