情報処理推進機構(IPA)は、5月の情報セキュリティの呼びかけとして「ゴールデンウィーク(GW)の行楽写真を投稿する際はご注意を」と題する記事を公開し、旅行などの思い出としてブログやSNSに写真を投稿する際の注意喚起を行った。
IPAが実施した「2014年度 情報セキュリティの倫理に対する意識調査」では、「友人と一緒に写った写真を勝手に自分のブログに貼り付けて公開した」という行為を問題であると回答した人は29.7%であり、7割以上が他人の写った写真をインターネット上に公開することに対して、問題意識を持っていないことがわかった。
インターネット上に写真を公開する行為は身近で手軽なものになっているが、他人の写った写真の公開に対する意識には個人差があり、その配慮はまだ十分に行き渡っていないと言える。
たとえば、デジタルカメラで写真を撮影した際には、Exif(イグジフ)という撮影日時や撮影機器のモデル名、GPS情報などの様々な情報が付加されているので、GPS情報が付加されたままの写真を投稿すると、閲覧者は撮影場所がどこであるのかを知ることが可能となる。
ブログやSNSの機能によっては公開範囲の指定ができるため、指定した人しか見られないから問題ないと考える人もいるだろうが、閲覧者は容易に写真をダウンロードして再利用できるので、想定される公開範囲に関わらず、ブログやSNSに写真を投稿することはインターネットに公開することと同じく「全世界の不特定多数の人に閲覧される状況にある」という認識を持つ必要がある。なお、最近では、撮影場所が公開されないよう、写真を投稿する際に自動的にExif情報を削除するブログやSNSもある。
また、投稿内容によっては撮影日時や場所が特定できるため、本人の許可なく写真を公開することで一緒に写っている人に不都合が生じる可能性があり、状況などによってはプライバシーや肖像権の侵害などといったトラブルに発展する恐れがある。
公共の場所で撮影した場合は、その場所に居合わせた人の様子や絵画などの著作物が写り込む場合があり、この場合も、内容や状況などによってはプライバシーや肖像権、著作権の侵害などのトラブルに発展する可能性があり注意が必要だ。
IPAは、ブログやSNSに写真を投稿する前に、投稿時にはExifのGPS情報の有無を確認し、GPS機能が有効である場合はアプリやツールを使い、公開する写真に付加されたExifのGPS情報を削除するよう呼びかけている。
また、写真を投稿することでプライバシーや肖像権の侵害とならないよう、一緒に写っている人には写真の撮影だけでなく、投稿することについても差し支えがないかを事前に了承を得ることや、被写体の背景に写り込んでしまった人物、書類、著作物などが公開されることによる懸念がある場合は、トリミングを行うなどの加工を推奨している。